【Teamwork Sessionレポート】リモートワークにも最適な「斜め1on1」が組織を強くする

【Teamwork Sessionレポート】リモートワークにも最適な「斜め1on1」が組織を強くする

株式会社イーブックイニシアティブジャパン
今井 輝夫氏
今井 輝夫氏
株式会社イーブックイニシアティブジャパン
CHRO(最高人事責任者)

新卒で総合物流企業に入社。その後、社会保険労務士事務所で労務の仕事に従事し人事としてのキャリアをスタート。システム開発会社、メーカーで人事職として労務、採用、制度、育成に携わり、2013年11月にイーブックイニシアティブジャパンに最初の人事担当として入社。2019年4月より執行役員コーポレート本部長に就任し、人事総務、法務、財務経理を統括。2021年4月より現職。

Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は、株式会社イーブックイニシアティブジャパン CHROの今井 輝夫さんにご登壇いただきました。組織の課題解決のカギは対話にある、と話す今井さん。対話に重点を置いた制度「斜め1on1」についてのお話を中心にご紹介します。

本日のテーマは「テレワーク時代における対話に着目した人材育成」です。今井さん、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。イーブックイニシアティブジャパンの今井と申します。今回は、対話を基にした人材育成ということで、当社で実施している「斜め1on1」をご紹介いたします。この制度の目的は、社員が通常の1on1とは別に、上司以外の役職者や社外の方と対話し、対話を通して社員に気づきを与え、それによって成長が促進し、組織の成長につなげることです。社員一人ひとりの成長は組織の成長に繋がるため、人材育成の一環として行っています。決して小難しい制度ではないので、ぜひ皆様の会社でも導入していただければと思っております。

対話をすることが課題解決への近道

制度はいたってシンプルです。斜め1on1では部下のことをクライアントと呼んでいますが、直の上司との通常の1on1とは別に、他部門の上司や、社外コーチと呼ばれる方との1on1を行っています。相談内容は、業務上のアドバイスやキャリアの相談など様々です。名称が違うだけで基本的には1on1なので、人事評価や評価面談とは違い、部下側のための時間となっています。

私が入社したのは2013年で、そこから2017年までの4年間の間でかなり多くの変化がありました。中途採用もかなり多く採用しました。吸収合併も行われました。1年ごとに大きな変化があり、組織が大きく拡大したフェーズだったと思います。こうした流れの中、拡大していく会社の成長のカギはミドルマネージメント層の強化と位置付けました。2017年は1on1導入や人財開発カルテなどの施策を行い、1on1が定着していく中で生まれたのが斜め1on1です。

導入当初、斜め1on1を利用してくれる社員は5名にも満たない程度でしたが、直近では20名以上が利用してくれています。また、マネージャー同士での会話の中でも出てくることが多くなりました。社内に浸透し、当たり前のものになってきており、企画して良かったなと思います。

斜め1on1制度が人材育成に繋がるカギは、対話にあると思います。対話という言葉自体は、なんとなく聞いたことがありますよね。人材育成にスポットを当てた時に気付いたのは、正解がない中で答えを見つけるには、対話が必要だということです。

自分一人で考えるのではなく、相手にどんどん自分の考えを言語化してぶつけ、相手の客観的な意見をもらい、それを自分の中で消化してさらに良い考えを生み出していく。そうやって、それぞれが抱える課題の解決に近づいていくのだと考えています。この思考のステップを経ることによって業務上他のいろんなことに適用できましたし、 対話の重要性を強く感じました。

どこからでも気軽に対話できるのがオンラインの強み

なんとなく頭で思っていることの言語化って、一苦労しますよね。ですがそれを発信して、上司や斜め1on1のコーチにぶつけて対話をすることで、俯瞰して見ることができたり、相手によって深掘りしてもらえたりすることもあります。その中で見つけた新たな発見によって行動が変わり、それが成長へと繋がるのだと思います。行動が変わったことにより、また新たな課題が生まれ、それを再び言語化して次の成長へ、といったようにこのサイクルを上手く回し従業員一人ひとりの成長を促していけば、組織として強くなっていくはずです。

そういった変化は斜め1on1を利用した社員達の反応からも伺え、アンケートでは「自分の背中を押してくれる人が増える」「部署の枠を超えて会話ができる」「関係性が近くない人との会話だから、雑談レベルでも何かしらの気づきがある」などといった声が多くありました。今のようなリモートワーク中心の働き方では日常的なコミュニケーションの場が限られてしまいますが、「オンラインで対話することによって挫折し、落ち込んだ場合の自暴自棄を防げる、行き詰まった時に相談に乗ってくれる場が固定してある」と感じる社員もいるようなので、言語化して発信していくことが大事と改めて実感しました。

当社はヤフージャパングループの子会社ですが、同時にZHD(Zホールディングス)グループであり、社外のコーチをZホールディングスの関係会社さんに協力頂いてる部分もあります。コーチ側からのアンケートでは「話しやすい・安心感があるなどの相性を見るためにも、いろんな方々にコーチングしてもらうのがおすすめ」「壁打ち相手として、または気軽に相談できる関係性として自由に活用してもらえれば」「成長のため・悩みの解消・ストレス発散など目的はなんでもいいし、目的がはっきりしてなくても構いません」などポジティブなコメントをもらえました。

現在、当社はほぼ100%の社員がリモートワークを行っていますが、リモートワークは、この斜め1on1と相性が良いと思います。今までは、例えば対話の相手がグループ会社の人だった場合、その職場まで出向く必要がありましたが、オンラインならいつでも気軽に会えます。極端に言えば日本中、世界中の人々と斜め1on1を利用して壁打ちできるわけなので、今までとは気付きのチャンスの幅が全く違いますよね。「コロナだから…」ではなく、この状況を逆手にとったことを進めていければと考えています。

制度浸透のキーワードは「簡単・楽しい・役に立つ」

斜め1on1制度については他社さんにも紹介したことがあるのですが、その際、以下のようなご質問をいただきました。

1つ目の質問の答えにもあるとおり、社内での最初の制度導入はとてもスムーズでした。トップにコミットしておくということは非常に重要だと思います。また、2つ目の質問に関してですが、コーチングの研修の受けた経験のある方は「様々な人にコーチングすることで、コーチとしてのスキルが上がる」というスタンスを持った方が多いです。またこちら側からも、そういったメリットを感じられるような仕組みを作り、ギブアンドテイクのような形になっています。

3つ目の質問の答えにある「振り返り」ですが、これは6ヶ月ごとに行っており、その度にマイナーチェンジをしてきました。積極的に発信することも大切だと考えています。今回のこのTeamwork Sessionで話すことも発信ですし、先ほどご紹介した利用者の声などを発信していくこと、またその中でも「簡単・楽しい・役に立つ」ということを伝えるのが大事です。何を聞いていいかわからない、と躊躇している社員のためにも、そういうのは気にしなくていいよ、簡単だよ、役に立つことがいっぱいあるよ、といったことをキーワードとして、社内で発信しました。

これまでにも斜め1on1の紹介をさせていただき、実際に斜め1on1を導入された他社さんのケースもあるようです。もし斜め1on1を導入してみたいという会社様がいらっしゃれば、ぜひトライしていただきたいです。ご要望があれば協力させて頂きます。斜め1on1で皆様の会社のメンバーが元気になり、組織が元気になることによって、日本が少しでも元気になればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。私からは以上でございます。

【セッションパート】「正解を言わなきゃ」という先入観をなくす発信に注力

―ありがとうございました。最初の「斜め1on1導入の経緯」のスライドについてですが、年度ごとの変化に対してどのようなアクションを起こされたのでしょうか?

最初は斜め1on1の希望者が少なかったので、どうすれば魅力付けができるかという課題がありました。この点に関しては、とにかく発信を繰り返しました。そして多様なニーズに応えられる、多様なコーチを揃えたいと考えました。一つの軸としてコーチングスキルを持つ方の協力を得たいと思い、グループ会社の人事に相談し、社外コーチを引き受けてもらいました。

希望者が10名前後で伸びない時期があったのですが、その原因は、「何を聞いたらいいかわからない」と感じてる社員が多いことでした。斜め1on1を社内で募集する際に「受けてみない?」とこっそり新卒や若手にSlackを送って勧誘しているのですが、そこでもやっぱり同じ声が聞こえてきます。そういう社員に対しては「まずは何でもいいんだよ、コーチが引き出してくれるから、きづくこといっぱいあるよ」とアドバイスしています。また、6か月単位の期間で運用していたのですが、この期間が長いというアンケートの声を取り入れ、昨期からは回数限定制の斜め1on1も実施していますが、やれそうなことは積極的にやっていくというのが基本スタイルです。

―なるほど。グループ会社様を社外コーチとして巻き込んでいったとのことですが、今井さんから直接アプローチをして、段階的に増えていったんでしょうか?

実は、コーチを引き受けて頂けそうな土壌は元々ありました。当社がグループインして以降、グループの人事が集まり情報交換する場が毎月1回開催されていました。そこである程度顔見知りになっていましたし、コミュニケーションができていたので、私からメールでコーチングの募集をさせて頂き、手を挙げていただいた方が数名いらっしゃたのです。エンジニアの方でコーチを引き受けた頂いてる方もいらっしゃいますが、ほとんどは人事の方です。職種柄、コーチングの勉強をして、その知識を活かすために経験を積みたいという方が多かったですね。お互いのニーズが合致した形です。

―そうだったんですね。もう一点気になったのですが、今井さん流の振り返りのポイントや、こういった振り返りで制度が磨かれたなどのエピソードはありますか?

基本的にはアンケートを都度とっています。そのなかで、良かったこと、もっとこうなって欲しいと思ったことを教えてください、といった質問をしています。そして頂いた回答の中で、これなら出来そうだなと思うことをやっているだけです。先ほど少しお話した斜め1on1の回数限定制がその例です。

―ありがとうございます。Wevoxのご利用企業様でも、対話という言葉に関して非常にお困りの企業様が多いですが、対話を浸透させていく上で工夫されたポイントはありますか?

「一方が正解でもう一方が不正解では無い」というメッセージを先ほどのスライドのように可視化して発信しました。自分にも相手にも意見はそれぞれあって、否定するのではなく「もっとこうすればこうなるのではないか」とか「こういう意見もあるね」と自身の意見や経験を話し、お互いフラットに見ることが対話だということ、そして価値観が違うことが前提だということを共通認識としました。都度、斜め1on1以外の組織開発ミーティングでも先ほどのスライドは出すようにしています。

―色々な場で説明をされて、浸透を図ってらっしゃるのですね。

そうですね、斜め1on1も組織開発のひとつだと位置づけてます。組織開発と人材開発はかなり密接ですし、全て繋がっているという認識を広めたいですね。

―斜め1on1や対話に着目した人材育成の結果、Wevoxのスコアに変化はありましたか?

成長の機会を感じてもらえてると思います。先ほどお話しした可視化のスライドを出していることもあってか、成長の機会などのスコアは悪くなかったですし、少しずつではありますが全体的にスコアは上がっています。また、今回のように社外のメディアに取り上げてもらい、外部から当社の制度を見てもらうことは、会社に対する誇りにも繋がります。Wevoxを導入してから2年が経ちましたが、コロナの影響によってスコアが下がったことはありません。斜め1on1や1on1制度は、社員にとってメリットになっていると感じています。

―最後に、今井さんご自身が施策をチャレンジされていく中での学びや気付き、またこれからこういう施策をされようとしている方向けのメッセージ、展望がありましたらお聞かせください。

学びや気付きについては、対話の重要性が一番大きかったです。今後も継続し、広めていきたいです。何かしら施策を始める時は個人的にはスモールスタートがいいと思っています。施策を回しながら改良を重ねていくというやり方が今のこの時代には合っていると感じています。将来的な展望は、斜め1on1制度を他の日本の多くの会社様にも制度として導入していただくことで、個人の成長、組織の成長を拡大していきたいです。

すでに違う名称で導入されている会社様もいらっしゃるようですが、ぜひ企業の活性化に役立てていただければと考えています。人事という職種から少しでも社会に貢献できる何かを提供できればと思い、今回この制度についてお話しさせていただきました。お力になれることがあれば協力させていただきます。今日の斜め1on1の話だけでなくTeamwork Sessionで取り上げられる情報によって、多くの企業が活性化して、コロナ禍でどこか元気のない日本が元気になればと願っています。ありがとうございました。

【編集部コメント】
対話の重要性、1on1の効果を改めて実感させられるプレゼンでした。特に社員数やグループ企業数が多い、大手企業には参考になる施策ではないでしょうか。斜めの関係があることで、心理的安全性に繋がるのは新しい視点。ぜひ、参考にしてみてください!

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