インターナルコンサルタントに必要な3つのマインドセット【連載#13】
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インターナルコンサルタントに必要な3つのマインドセット【連載#13】

一般社団法人チームスキル研究所
田中 信氏
田中 信氏
一般社団法人チームスキル研究所
理事 研究所長 コ・ファウンダー

大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティングにて企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。専門は、研究開発、商品開発、新規事業開発、事業改革など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。また人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント養成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など企業や団体の改革を支援している。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、Wevox組織・人財アドバイザー、一般社団法人経営支援機構 技術顧問などを兼務。現在に至る。

連載:新時代で輝く組織開発の専門家インターナルコンサルタントのススメ

「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」
そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。
※このコラムでは、インターナルコンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます。)

前回の記事は↓

インターナルコンサルタントに求められる5つのスキル領域【連載#12】
インターナルコンサルタントに求められる5つのスキル領域【連載#12】
「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」 そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。 (※このコラムでは、インターナルコンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます。)
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こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。

前回は「改革(※)の推進段階で求められるインターナルコンサルタント(以下IC)のスキル」の5大領域についてみてきました。

今回はICとしてのスキルを開発する前提となる、ICに必要なマインドセット(ここでは物事の捉え方や考え方、気の持ち方と定義しますについてみておきたいと思います。

(※このコラムでは、ICが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます)

なぜICにマインドセットが必要なのか?

改革の企画づくりや改革を推進する過程において、多くのICが体験する事象があります。ICはそれらの事象が起こり得ることを事前に理解しておくことで、事象が起きた時に柔軟に対応ができ、結果として改革の停滞を極力抑えることができ、ICの身に起こるネガティブ・ストレスを軽減できます。

以下にICの身に起きる主な事象と、過去の先輩ICたちが体験から得た3つのマインドセットを以下にご紹介したいと思います。

ICマインドセット(1)「抵抗反応は誰にでも起こる」と肝に銘じておく

改革の企画・推進の過程において、最も多くのICが体験するのが「周囲からの抵抗反応」です。

IC自身は会社や仲間にとって良かれと思って改革を企画・推進しているのですが、残念ながらその思いはなかなか伝わらず、改革への反対や施策の否定、実施への抵抗といった活動を推進する上での壁に阻まれてしまいます。

なぜ、このような否定や抵抗をされてしまうのでしょう。その背景には、人間がもつ「変化への抵抗反応」があります。誰しも変化に対し「変わりたくない」という反応を示す傾向をもっています。ICにとっては、このような変化への抵抗反応が、「改革の否定」や「改革を推進しようとするICへの非難」であると受け取れてしまうのです。

このような変化への抵抗反応に対してどのように対応すればよいのでしょう。

◾️ 変化への抵抗反応のメカニズムを知り、柔軟に対処できるようになる

人がもつ「変化への抵抗反応」には、「無反応・拒絶」「感情表出」「とまどい」「試行錯誤」といった過程があります。このような変化への反応について理解を深め、その段階に見合った対応をすることで、抵抗反応に対して俯瞰的に対処できるようになります。

ICマインドセット(2)改革担当者の提案や意見は聞き入れてもらえない前提で事を進める

改革を推進する過程において、改革の推進担当者に対する経営層の対応には二つの傾向があります。一つは社内メンバーの発言・提案を軽んじること、そしてもう一つは改革推進者の実績の有無で扱い方が大きく変わることです。この背景には、社内に「改革テーマに関する知見が少ないため適切な判断ができないこと」及び「そもそも改革に関する組織の経験が少なく、改革の考え方、進め方に関する十分な知見がないこと」が挙げられます。よってICは改革を推進する過程で、「改革テーマ」及び「改革そのものの進め方」に関する組織メンバーの知見を高める工夫をする必要があります。

外部有識者の活用も検討する

一つ目の「社内メンバーの発言を軽んじる傾向」への対策は、外部の有識者を活用することが考えられます。

仮にICと外部有識者が同様の発言をした場合、外部有識者の発言の方が理解されやすいことがよくあります。改革を前に進めるために「有識者の知見は正しい/有益である」といったハロー効果の力も活かしながら、組織内にICが醸成したい改革テーマの理解や必要性の認識アップ、もしくは改革の要否に関する議論ムードを高めることができます。

この辺りを心得ている改革推進者たちは、要所要所で外部の有識者を参画させて自分たちの言いたいことの代弁をしてもらっているのです。

改革の実績不足は、事例収集・現場の声・試行で補う

二つ目に挙げた「改革実績の不足」については、改革に初めて取り組む担当者にとっては実績がないことはどうにもならない事実だと思います。

実績の不足に対しては、以下の3つのアプローチ(事例収集・現場の声・試行)を用いた補完にチャレンジされることをお勧めします。

【事例収集】
社外コンサルタントや有識者、他社で改革を推進しているICの方々などとの交流を通じた改革事例の収集(※)により知的武装化を図ります。

(※関連情報として 本連載第4回「企画フェーズで大事にすべき3つのこと」の中の「改革企画のKFS②: 社内外の人脈を最大に活用する」も参考になさってください。)

【現場の声】
改革経験の少ないICにとって、第一線で活躍する自社組織メンバーへのインタビューを通じて得られる「現状や実態、問題・課題に対する認識、思いや個人でチャレンジしている事柄などの情報」は、経営幹部や改革活動の決裁者に、改革の活動内容や進め方について理解してもらうために貴重な情報となります。なぜなら企業の経営幹部や上級管理職の地位にいる多くの人々にとって、「第一線で活躍している組織メンバーがどのように考え、感じているか」については、意識調査などの定量把握はしているものの、具体的な意見としては十分に聞けてはいないことが多いためです。改革経験の少ないICは現場の声を把握し、経営層へ伝える役割を担うことにより、幹部にとって重要な情報源となり得ます。

【試行】
組織メンバーのインタビューを通じて得た、問題・課題認識を元に改革への思いをもつ人々と連携し、早い段階で実験的に改革施策を試してみることをお勧めします。もしくは既に改革を推進している組織メンバーがいれば、活動に同席させてもらったり、活動の参加者に意見を聞いたりすることで社内にある先行事例について理解を深めます。このような「試行」を充実することで経験不足を早期に補うことを目指します。

ICマインドセット(3)改革施策の試行と小さな成功体験を早めに仕込む

改革の企画段階では主たるアウトプットとして改革のマスタープランづくりが求められます。このマスタープランが出来上がると次に待ち受けているのが経営幹部などの決裁者に対しての答申という関門です。この関門で必ずと言っていいほど問われる質問が「この企画で本当に改革は実現できるのか ?」です。

通常の改革は成果がでることを担保できるケースは少ないものです。試行錯誤しながら成功の定石を見出していく活動となるため、「この企画で改革は必ず成功します」とはなかなか言えないと思います。では、どうしたらよいのでしょう。

改革のなるべく早い段階から施策仮説の試行や、小さな成功体験を収集することを心がける

決裁者の「この企画で本当に改革は実現できるのか ?」に少しでも応えるためにできることとして、フィージビリティスタディ(事前調査)段階や改革の構想段階においても、改革対象の部門メンバーが実践している小さな改革の成功事例や改革ニーズの収集、具体的な施策仮説の検証を進めることをお勧めします。このような具体例を収集することで、「改革がうまく行くか・否か」の二元論ではなく、改革を推進する過程を通じて組織メンバーの意識や行動が変化していくことの大切さを認識してもらえるように仕込みを行います。このような実践例の仕込みをしておかないと、答申の過程でせっかく検討してきた施策案が大きく削られてしまったり、内容の見直しとなってしまったりすることがあります。

ICの仕事は「改革」の正論だけではなかなか進みません。変化に対する人間の反応や思い込み、新しいことに挑む際の不安に柔軟に対応できることも求められるのです。

※本連載は一般社団法人日本能率協会の情報サイト「KAIKA」にて掲載されていた田中信氏の連載「インターナルコンサルタント養成のススメ」を一部編集して掲載しています。

連載1本目は↓

今が好機!社内から組織を変える専門家「インターナルコンサルタント」が輝く時代に【連載#1】
今が好機!社内から組織を変える専門家「インターナルコンサルタント」が輝く時代に【連載#1】
「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」 そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。そんなマコさんが、Wevoxが提供するオンラインアカデミー「Engagement Run!」でインターナルコンサルタントの養成コースを計画中とのことで、話を伺ってきました。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。
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