
インターナルコンサルタントに求められる5つのスキル領域【連載#12】

大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティングにて企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。専門は、研究開発、商品開発、新規事業開発、事業改革など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。また人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント養成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など企業や団体の改革を支援している。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、Wevox組織・人財アドバイザー、一般社団法人経営支援機構 技術顧問などを兼務。現在に至る。
連載:新時代で輝く組織開発の専門家インターナルコンサルタントのススメ
「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」
そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。
(※このコラムでは、インターナルコンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます。)
前回の記事は↓

こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。
前回までは「改革デザイン・マトリクス」の横軸「改革の手段」についてみてきました。
今回からは改革の推進段階で求められるインターナルコンサルタントのスキルについてみていきたいと思います。
インターナルコンサルタント(以下IC)に求められるスキル開発の現状
本コラムの第1回でも触れたように、一般的な企業では、ICという役割は定義されていないケースが多い状況です。その為、ICに求められるスキルについても明確にされていません。企業内でIC的な活動をしている人々は、各々が試行錯誤をしながらスキルを磨いているのが実情です。
このような背景からチームスキル研究所では2012年より本格的にICに求められるスキル体系の開発とクライアントへのカスタマイズ支援を実施してきました。このスキル体系はICの養成に活用されているほかにHRBP(※)向けのトレーニングにも活用されています。
(※HRBPとは、「Human Resource Business Partner」の略で、経営者と同じ目線で人事や人材開発の面から事業成長の問題解決をサポートする、事業部門の経営者・責任者のパートナーのことです。)
本コラムでは、我々がこれまでICの養成支援で培ってきた「ICに求められるスキル」について解説していきます。
ICに求められるスキルの5大領域
我々が開発したICに求められるスキルは大項目で5つ、小項目で120以上に渡ります。まずは5大領域からみていきましょう。
1.コンサルティング対象部門の特性把握関連
改革支援を行う対象の部門に対する事業特性及び業務特性について把握できることが求められます。
2.マネジメント関連
マネジメントに関する基本知識・経験のほか、マネジメントに関する研究活動なども含まれます。
3.ソリューション関連
改革プログラムに関する知識・経験だけでなく、本質の体得、クライアント部門への導入・成果創出力が含まれます。
4.コンサルティング関連
本連載第7回で触れたインタビュー技術のほか、経営理念・価値観やコンサルタントとしての基本スタンス、コンサルティングのプロジェクト・マネジメント、フィードバック、課題発掘、協働力、トレーナー力、ファシリーテション力、介入力、ポジティブな関わり力、開拓力など。
5.組織貢献関連
コンサルティング事例の共有、コンサルティング技術の開発、後継者育成など。

どのような順番で、どんな能力を開発していけばよいか?
ICやHRBPの養成に際し「ICを養成するためには、どのような順序でどのような能力を開発していけばよいか?」といった質問をいただきます。
実際の能力開発においては、上記の5大項目について、Off-JT、OJT、OTT(※)などの各種育成手法を用いてICとしての能力開発を進めていきます。
(※OTT®とはOn the Team Training®の略称。チーム力を用いてメンバー相互の能力開発を行う育成手法。ベテランや先輩から後輩・新人若手への技術伝承という従来の育成だけでなく、新人からベテランへの知識・経験の伝承や新たなニーズなど課題発掘のための視点提供などが行われる多様な育成環境の実現を目指す手法です。)
具体的には、IC養成コース(ベーシック編、アドバンス編)、個人別のICコーチング、ICが実際にコンサルティングを実践している場面の動画を用いたスーパーバイザーからのフィードバックセッション、IC同士の相互研鑽やノウハウ共有などを目的としたワークショップ実施、ICとしてのコンサルティング技術を体系的にまとめたコンサルティング事例発表会やコンサルティングに関する技術論文の作成などの組み合わせにより実施します。
以下に企業におけるIC養成プログラム(例)をご紹介します。
・IC組織の発足初年度は、IC養成ベーシックコース(集合型のコンサルティング・スキルトレーニング研修)を月に一回、全9回実施。集合研修と並行して個別のICコーチングの対話機会を設定し、各ICのマインドセット醸成を実施。
・2年目は同じ対象者に対してアドバンスコースを実施。
・3年目以降に、ICワークショップを設定し、コンサルティング事例の共有を通じたIC同士の相互研鑽機会の提供。
・4年目以降はICワークショップの定期開催と並行して、ICの個人特性に合わせた能力開発を支援するためICコーチングを提供。
ICスキル養成は、「石の上にも三年」
これまでIC養成をご支援してきて感じるのは、「石の上にも三年」ということわざが、まさにあてはまるということです。
1年目はなにをやっているのかわからない状態で経過。2年目はコンサルティング現場での試行錯誤を通じた成功・失敗の体験を得る段階。3年目にICとしての存在価値や役割への自覚の芽生える段階です。
注意すべきは我流コンサルタントにならない仕組みづくり
IC業務は、各ICがクライアントである各事業部門に派遣されている状態が続きます。IC業務への着任直後は「何をしたらよいかわからない」ため組織への依存度が高い状態ですが、経験年数が増えるにつれて自分なりのクライアントへの貢献スタイルが出来上がってくると、我流で改革を支援するスタイルが増えてしまい、ICとして品質が担保できない状態に陥ることがあります。
一度、我流コンサルタントに陥ってしまうと、コンサルティング品質の安定化や組織としてICのレベルアップを図ることもが難しくなってしまいます。このようなICマネジメント機能不全に陥らないためにも、早い段階から、社内外でのIC同士のコンサルティング技術に関する相互フィードバックやスーパービジョンを利用できるしくみを用意し、組織としてICに求める基準を常にモニタリングできる状態を整備しておくことを強く推奨しています。

今回は「改革の推進段階で求められるICスキル」の5大領域についてみてきました。
次回からは「ICスキルの詳細と能力開発手法」についてみていきたいと思います。
※本連載は一般社団法人日本能率協会の情報サイト「KAIKA」にて掲載されていた田中信氏の連載「インターナルコンサルタント養成のススメ」を一部編集して掲載しています。
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