管理職はエンゲージメントサーベイをどう活用すればいい?〜三菱UFJ信託銀行の“相互フィードバックミーティング”が教えてくれる対話の大切さ

管理職はエンゲージメントサーベイをどう活用すればいい?〜三菱UFJ信託銀行の“相互フィードバックミーティング”が教えてくれる対話の大切さ

三菱UFJ信託銀行株式会社
齊藤 允 氏
齊藤 允 氏
三菱UFJ信託銀行株式会社
人事部 企画担当

人事部の企画担当の次長として、Wevoxの導入・運用事務局を務める。人事制度の改善やコミュニケーション施策なども担当。

山内 太朗 氏
山内 太朗 氏
三菱UFJ信託銀行株式会社
市場業務部 次長

市場部門が使用するシステムや事務の企画を担当する市場業務部にて、次長を務める。

西川 智章 氏
西川 智章 氏
三菱UFJ信託銀行株式会社
不動産営業第4部 次長

取引先法人が所有する不動産のあり方を提案し、売買や賃貸借の仲介を行う不動産営業第4部にて、次長を務める。

リモートワークの急拡大をきっかけに、2021年4月より「Wevox」を全社に導入した三菱UFJ信託銀行株式会社のエンゲージメントストーリーをご紹介します。社内に約120の部や支店、それぞれの中に約570の課がある同社において、サーベイはどのように活用されているのか。その鍵は“相互フィードバックミーティング”にありました。各現場での組織づくりの工夫などについて、事務局を務める人事部の齊藤さんと、事業部側の次長として率先してWevoxを活用している山内さん、西川さんに伺いました。
※取材時(2022年2月)での所属部署、役職です。

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サーベイのメリットを管理職に体感してもらうには?〜三菱UFJ信託銀行の“現場からの本気フィードバック”を活かした導入事例
サーベイのメリットを管理職に体感してもらうには?〜三菱UFJ信託銀行の“現場からの本気フィードバック”を活かした導入事例
リモートワークの急拡大をきっかけに、2021年4月より「Wevox」を全社に導入した三菱UFJ信託銀行株式会社のエンゲージメントストーリーをご紹介します。社内に約120の部や支店、それぞれの中に約570の課がある同社において、エンゲージメントサーベイの導入はどのように進んだのか。人事と管理職が連携を取り、現場が主体となったサーベイ導入を進めた三菱UFJ信託銀行の事例について、人事部の齊藤さんと、事業部門の次長としてマネジメントを担われている山内さん、西川さんに伺いました。
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現場活用例1:スコア分析と仮説立て、施策の検討・実行のサイクルを3カ月単位で回す

―西川さんの不動産営業第4部では、この1年、サーベイ活用のためにどのような試行錯誤をされてきましたか?

西川:不動産営業第4部の取り組みの大きな流れとしては、3カ月ごとの管理職のミーティングと、年2回の相互フィードバックミーティングでエンゲージメント向上のアクションを考え、実行しています。

管理職のミーティングは、部長と次長である私、課長2人、上席調査役4人の計8人で行っていて、9つの大項目のうち相対的にスコアが低い3項目に絞り、仮説立てと仮説に対するアクションをブレインストーミングします。その際の各管理職の発言や、議論の結果まとまった仮説とアクションは、会議後、スコアとあわせてレポートにまとめて部員全員に配布しています。

部員の中には、Wevoxの回答対象者でない兼務社員の方もいますが、一緒に職場のカルチャーを作り上げていくチームメンバーですから、回答対象者かどうかにかかわらずレポートは全員に配布しています。

チームメンバーとの信頼の構築はすごく大事ですし、パルスサーベイのプロセスにおいても信頼の構築というのは極めて重要なファクターでエンゲージメントの基本です。レポートを読んだメンバーに「管理職は真剣に議論してるんだな」と感じてもらえればという思いで、レポートには、議論で出た話題は洗いざらい書いています。

例えば、よく議論に挙がるのが、不動産仲介の世界では成功体験を重ねたベテランになるほど自己成長をなかなか感じないという話です。ベテランはどんなことから自己成長を感じるんだろうか?という議論から、「ベテランは後輩の成長を自己成長と捉えてやっていきましょう」という話になったのですが、そうした流れも逐一箇条書きにして共有しています。

―管理職のみなさんとのミーティングは、最初からスムーズに進みましたか?

西川:初回は意見がスムーズに出てきませんでしたね。なので、私がファシリテートして意見を言ってもらうように促しました。

ただ、1回目を終えると皆さん要領を得たようで、2回目以降は自発的に、かつ部員みんなの気持ちに思いを馳せながら意見を言ってくれています。

現場活用例2:メンバー全員が「自分ごと化」できるよう、こまめに働きかける

―山内さんの市場業務部では、この1年、どのような試行錯誤をされてきましたか?

山内:我々の部としては、「とにかく全員参加で部をよくしたい」をテーマに掲げ、大きく次の3つを柱として取り組みを考えてきました。

1)全員が自分ごととして考える
2)出てきた結果・情報は全員で共有する
3)出てきた意見に対して必ず反応する

1については、まずはサーベイ回答率100%を目標に据え、私が毎週木曜日にWevoxにログインし、グループごとの回答率をチェックしてリマインドのメールを行うようにしています。すると、毎朝各グループが行っている朝会で管理職がリマインドしてくれて、ほぼ100%回答してくれるようになりました。

また、年2回の相互フィードバックミーティングを7〜10人程度のグループごとに実施していますが、全員参加で実施できるよう、実施期間を1カ月間設けて、「どこでもいいから全員参加できる日程を決めて」と働きかけています。

加えて、相互フィードバックミーティングで決めた改善アクションは、最初はできていても徐々に忘れがちになるので、毎月、月初に私から「できてますか?」とリマインドしています。

―2、3についてはどのように実行されていますか?

山内:2については、スコアが出る月曜日に私が結果をダウンロードし、±2点以上スコアが変動した項目について私なりに分析した変動要因とそれに対する対応方針を一言コメントとして書いて部内にメールしています。もともとスコアはWevoxにログインすれば誰もが見られますが、ほうってくと誰も見ないだろうと思って、1年間ずっと続けています。

あとは、四半期に一度、Wevoxスコアを題材とした管理職ミーティングを行っているのですが、西川さん同様に議事録を部の全員に共有しています。

3については、出した意見に対して反応がないと、意見を出した人は嫌になってしまうので、小さなことでも必ず反応することを意識しています。

例えば、年2回の相互フィードバックミーティングや四半期に一度の管理職ミーティングでは、改善のための提案事項を「自分たちだけでできそうなこと」と「対経営、対人事部など、ヒト・モノ・カネが必要なこと」に分けて書いてもらっています。それらに対しても「できる(だからやってみよう)」「できない(理由とともに)」のリアクションを意識的に行っています。

こうした地道な取り組みを1年近く続けていると、徐々に所属員から反応が出てくるようになりました。週次のメールに対して返信をしてきてくれる人や、雑談でサーベイ結果について話題に挙げてくれる人が少しずつですが出てきています。

―すごく具体的に教えていただいて、活動のイメージがつきましたし、コミュニケーションや働きかけの大切さを実感しました。ちなみに、ほかの管理職の皆さんの意欲はいかがですか?温度差があったり、巻き込むのに苦労したりはされましたか?

西川:苦労はしていないですね。もともと、部全員が思っていることや考えていることを忌憚なく話せる雰囲気があるので、管理職も全員、自分のことではなく部全体のことを考えて発言してくれます。

山内:我々の部署は、私自身が当初は懐疑的でしたし、管理職の中にも同じような人はいたと思います。ただ、実際に始めてみると、スコアという客観的な材料があることで部下と話しやすいようで、ネガティブな意見はあまり聞こえてこないですし、四半期に一度の管理職ミーティングやその後のヒアリングでも、意見を聞いて反応が返ってこないということは一切ありません。Wevoxのようなツールが価値あるものと思ってくれているようです。

エンゲージメントは、相互尊重をベースにした信頼関係

―では、この1年を振り返って、ご自身のマネジメントに対する変化や気づきを教えてください。

山内:思った以上に、会社の方針やマネジメントの思いは現場に伝わっていないんだなと感じました。年度ごとに個人の課題設定を行っていて、その際に会社の方針やそれに基づく部門の方針、個々人の課題を伝えてきたつもりですが、あまり伝わっていなかったことがわかりました。ことあるごとに念仏のように繰り返し伝えないと伝わらないこともあるんだなと。

ただ、そうやって繰り返し伝えることを続けていくと、おもしろいことに「ミッション・ビジョンへの共感」や「経営陣に対する信頼」などのスコアがこの1年で上がったんです。メッセージを伝え続けていれば、少しずつ変わってくるんだということがわかってきました。改めて、対話の重要性を身にしみて感じています。

西川:「エンゲージメントとは何か?」ということをより深く考えるようになりました。

私が考えるエンゲージメントというのは、社内外のステークホルダー間にあるミューチュアルリスペクト(mutual respect:相互尊重)をベースにした信頼関係の程度だと考えています。会社は、役員から新入社員までの集合体で、そのすべての人たちをつなげるニューラルネットワークのようなものが信頼関係、つまりエンゲージメントで、つながりをつくる線の密度と太さがエンゲージメントの高い低いなのではないかと。

だとすると、エンゲージメントを高めるとは、MUFGが掲げるパーパス「世界が進むチカラになる。」を、個人の多様な価値観に少しずつミートさせ重なりを増やしていくことではないかと思っています。その結果として、ニューラルネットワークが発達していきますので信頼関係が少しずつ強固になっていくのではないか、と思うようになりました。

パルスサーベイに前向きになれていない組織を支援していくことが、2年目の課題

―西川さん、山内さん、ありがとうございました。最後に、Wevox事務局(運用担当者)の齊藤さんに全社的なことをうかがいます。パルスサーベイやエンゲージメント向上の取り組みが、貴社の組織全体にどのような影響や変化を与えていると感じていらっしゃいますか?

齊藤:各組織のマネジメント層が、エンゲージメントという概念を意識してくれるようになったことが大きな変化だと思います。というのは、全社展開がある程度進んだあと、各部店と意見交換のミーティングを行った際に、「エンゲージメントというのは、会社との関係性や個々人がどれだけ主体的な貢献意欲を持てるかだよね」という言葉が管理職から結構あがってきたんですね。

エンゲージメントを高めることが組織運営においてはプラスに働くんだということも、感覚としてみなさんがもってくれているような言葉も得られましたし、エンゲージメントは従業員満足度とは違うということも理解されていることを感じました。加えて、マネジメント層が組織の日常的な変化を意識してくれるようになったことも良い変化です。

あとは、各組織のマネジメント層や管理職にとって、自チームの状態を具体的に把握できるようになったことも大きな進歩です。上司と部下の対話の機会が一層必要だという考えから、パルスサーベイの全社展開と同時期に1on1ミーティングを導入しましたが、その効果を測定するツールとしてもパルスサーベイは使えると感じています。

ここからさらに、今、Wevoxに加えてマイクロソフトのViva Insightというツールを導入する準備を進めており、働き方の可視化と分析にトライしてみようと考えています。エンゲージメントと生産性はどのようにかけあわさっているのか、という点に気づきを得られることを期待しています。

―導入2年目に入りますが、課題感をもって取り組みたいと思っていらっしゃることはありますか?

齊藤:課単位の組織数でみれば全社で約570ほどあるので、管理職の中にも、西川さんや山内さんのようなものすごく積極的に取り組んでくれている人だけでなく、なかなか盛り上がりきれていない人や、そもそも業務が繁忙で余裕が乏しい上にスコアも低迷していてどこから手を打っていけばいいかわからないという人もいます。

したがって、次は苦しい状況にある組織や管理職をいかにして人事部からサポートできるかが2年目のチャレンジだと考えています。

苦しい状況にある組織では、パルスサーベイに対して冷めた認識を持っているかもしれませんし、回答率もあまり高くない。もしかすると、「どうせ現状は変わらない」と思っているかもしれない。それに対して本部ができることは限られているかもしれませんが、だからといって諦めずに、何かしら頑張りたいなと思っています。

―では最後に、組織活性化のための今後の組織づくりの展望を教えてください。

齊藤:当社は、「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行であるために、社員がプロフェッショナル集団である必要があります。そのため、会社全体としては「挑戦できる組織」でありたいと思います。その一方で、課の単位の各チームの「ありたい姿」は、多様であっていいとも思います。「やりがいを最も重視したい」「ワークライフバランスも大事にしたい」など、何を重視したいかはバラバラなはず。多様なチームが、会社全体としてまとまった時に、「挑戦できる組織」であるというのが私が考える理想の形です。

したがって、事務局としては、まずは各組織や個々人で組織のありたい姿を主体的に持ってもらえるお手伝いしていくことをミッションにしたいと思っています。前向きな「こうしたい」という気持ちが、自律的でプロアクティブな組織になっていく上で大事だと思いますから。

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