
推進者と役員が二人三脚で取り組む、エンゲージメントの浸透と社内の仲間づくり

銀行に32年、メーカーに6年勤務したのち、2023年10月にリリカラに入社。中期経営計画で掲げる人的資本経営に関する項目の推進責任者として、エンゲージメント推進活動に携わっている。

2006年に中途入社。以来、総務・人事業務に従事。2023年より、採用等の業務に加えてWevoxの運用とエンゲージメント推進活動の事務局を務めている。
壁紙や床材などのインテリア商品の企画・開発・販売、オフィス空間・施設のインテリア設計・施工、不動産投資開発事業などを行うリリカラ株式会社。2024年5月よりWevoxを導入し、事務局と経営陣が一体となってエンゲージメント推進活動に取り組んでいます。中心的役割を果たしている事務局の廣澤さんと役員の平山さんに取り組みの詳細を伺いました。
※取材時(2024年10月)の部署・役職になります。
従業員1人ひとりが会社に愛着を感じて働けるように
―御社では2024年5月よりWevoxを導入し、エンゲージメント推進活動に取り組まれていらっしゃいます。背景にはどのような課題があったのでしょうか?
平山:人材確保という観点がまず大きいですね。良い人材が集まる会社にしていくためには、エンゲージメントを高めるための活動が不可欠だという認識です。
従業員のエンゲージメントが低いと、皆がこの会社で働き続けることに疑問を抱きながら仕事をすることになり、生産性が上がりません。また、人材の流動性が高まれば、その分の採用コストを払わなければならなくなります。そして何よりも、個々の従業員がこの会社に愛着を感じて一生懸命働くことができれば、個性も生かせるだろうし、創造性の高い仕事にも取り組んでもらえて、会社としての競争力も強まります。これらの点から、多少のコストがかかってもトータルでは十分にペイする活動だと考えています。
加えて、当社は100年以上にわたって創業家が筆頭株主として経営を行ってきましたが、2024年6月より、株式譲渡により別の会社の子会社としてリスタートすることになりました。創業家の傘の下で守られていたときの「方針は上から降ってくるもの」というカルチャーのままでは、株式譲渡後の会社運営が非常に厳しくなるだろうという危機感も、活動に取り組むきっかけになっています。
―廣澤さんは、会社の課題をどのように感じていらっしゃいましたか?
廣澤:平山さんが指摘する、事なかれ主義で上の様子を伺う文化への課題感は私も感じていました。それによって、ボトムアップで何かを変えようとしても、「それは無駄じゃないか」「上の意向に合わない」などの意見が出て、改革が進まない状況があったのです。
加えて、横の繋がりもなく、部署横断で何かをすることもあまりなく、問題が起こったときに部署間で責任の押し付け合いになる場面もあり、お互いを知らないからこその軋轢を何とかしていきたいと感じていました。
エンゲージメントへの理解を広げるセミナーを毎週実施
―具体的にどのような活動をされていますか?
廣澤:主に4つの取り組みを行っています。全社横断型のセミナー「Wevox communication」、「Wevox Board」のトライアル導入、Wevoxのフリーコメントに対する経営陣からの返信、「Engagement Run! Academy」への参加です。
―1つめの活動である、全社横断型のセミナー、Wevox communicationについて教えてください。
廣澤:Wevox communicationは、毎週、任意参加で開催している全社横断型のセミナーです。Wevoxの活用の仕方として望ましいのは、「課単位などでスコアを見てミーティングする」ことだと考えていましたが、当社にはミーティングの文化が根付いておらず、管理職と課員の間で活発にコミュニケーションが取れているとは言い難い状況でした。
そこで、課ごとのミーティングに取り組む前段階として、コミュニケーションの訓練の場として設けたのがこのセミナーです。まずはこの場でエンゲージメントやスコアの見方について学び、会社からの強制ではなく自分ごととしてスコアを見て、気づきを持って主体的にエンゲージメント向上に取り組んでほしいと考えています。
また、課ごとのミーティングの鍵となる管理職層は、当社の場合30代・40代が中心で、上の世代と下の世代からそれぞれ異なる価値観で接せられて板挟みの状況にあります。その一番苦労している層の気持ちを共有する場にもなればという考えもあります。
―どのような内容でセミナーをされているのでしょうか?
廣澤:Wevoxのスコアの見方を始め、「7つの習慣」や心理的安全性など、毎回、テーマを1つ設定して、管理職向けの回と全社員向けの回に分けて実施しています。各回とも、アトラエさんのセミナーやEngagement Run! Academyのアーカイブ動画・資料を活用して私から説明をしつつ、グループセッションの時間を必ず設けています。
そして、各回の最後には必ず参加者に感想を述べてもらってそこだけ動画に記録し、社内SNSにアップして開催報告を行うことで、取り組みを周知しています。実際、「Wevoxは単なるアンケートではなく、セミナーもやってるんだ」という認知がだいぶ広がってきていることを感じますし、会社が本気でエンゲージメントについて考えていることを示すことができeているのかなと思います。

―従業員の皆さんの参加状況や反響はいかがですか?
廣澤:意識の高い管理職や一般社員の参加もありますが、全社でみると参加はまだまだ少ない状況で、回によっては参加者が1人だけの時もあります。だからこそ、数百人に見てもらえる可能性があるSNSでの開催報告は欠かさず行っていますね。
参加者数が少ない背景には、特に一般社員の場合、就業時間中に業務に直接関わらないことをすることに後ろめたさがあったり、時短勤務やフレックス勤務だと参加しづらい時間帯の実施であったりするという課題があります。また、地方の拠点だと、オンラインミーティングを1人でできる場所やWi-Fi環境が整っていないことがネックになっていたりします。これらは、今後クリアできるようにしていきたいです。
参加者について見ると、繰り返し参加してくれる人が少しずつ増えていますし、参加を重ねていった方たちの発言の質は、高まっていると感じます。社内の他のイベントやセミナーのグループセッションでも周りに良い影響を与える発言をしてくれるので、セミナーを実施する際も心強いです。
―2つめのWevox Boardトライアル導入についても詳しく教えてください。
廣澤:こちらも、Wevox communicationと同じく、課ごとにスコアを見てミーティングをするという取り組みを進めていくための、前段階として取り組んでいることです。アトラエさんのWevox Boardを弊社の特定の本部にトライアル導入してミーティングで活用しつつ、Wevox communicationにも導入し始めています。

同様の機能を持つ他のツールに比べて使いこなしやすく、「今月のスコアについて何か気づきはありましたか?」というテーマを少人数で話し合うだけで、あっという間に30分くらいは過ぎているので、敷居が低く、有用なツールだと感じています。
企画本部のメンバーやWevox communicationの参加者からも、「自分の考えがまとまるし、それを皆に共有できる」「付箋を見ながら話すことで会話が活発化する」「テーマを自分ごととして捉えられる」などの感想をもらっています。今後、少しずつ他の部や課に広げていって、最終的には各課の課内ミーティングでの活用に持っていければと思っています。
Wevoxのフリーコメントが、経営陣と従業員の対話の機会につながる
―3つめのWevoxのフリーコメントに対する経営陣からの返信とは、どのような取り組みでしょうか?
平山:毎回のサーベイで寄せられるコメントで多かった意見について、対応方針などを、経営を代表して私が返答しています。その後、廣澤さんが、毎月のサーベイ結果の報告に添えて社内SNSで全社に発信してくれています。
廣澤:取り組みを始めたきっかけは、アトラエさんの開催するイベントである「Teamwork Session」で、役員の皆さんがサーベイに寄せられたフリーコメントの一つひとつについて対応を協議し、回答を社員に返していらっしゃるという株式会社シンドーさんの取り組みを知ったことでした。同社の社長さんがおっしゃっていた「最初は辛辣な意見があるけれど、経営層がちゃんと反応することによって最終的には主体的な意見に変わる」という言葉に感銘を受け、経営を代表して平山さんにお願いし、取り組みを行っています。
実際に今は、提案に近いような意見が増えてきていますし、サーベイ結果と平山さんのコメントを発信した際にリアクションのスタンプもつくようにもなってきました。
―平山さんとしては、どんなことを意識して毎月発信されていますか?
平山:皆、それなりの思いを持ってコメントを書いているはずなので、「ちゃんと見ていますよ」「すぐに対応できるものと対応が難しいものがありますが、ちゃんと頭の中に留め置いて、対応できるように少しずつ進めていこうとしていますよ」という姿勢を伝えようという思いで発信しています。
―廣澤さんは、この取り組みの意義をどのように感じていらっしゃいますか?
廣澤:エンゲージメントを高める活動の要は、経営層が寄り添っているという姿勢にあるんじゃないかなと個人的に思っています。
経営層からの発信がなければ、従業員は「経営層は何もしてくれない」と思うままになってしまいますが、Wevoxのフリーコメント欄を介して経営層と従業員で対話のキャッチボールができれば、経営層から「ちゃんと意見は聞いているよ」という姿勢を示すことができます。この発信が非常に有効だと感じています。
また、例えば「ウォーターサーバーを置いてほしい」など、経営層が関わるまでもなく対応できるような細かな要望や不満を拾い上げることができるメリットも感じています。コメントを分析すると、「人事制度」「労働負荷」「設備・環境」「システム」「マネジメント」「提言」などに分類できることがわかりました。経営層が対応するもの、各部が対応するもの、総務部が対応するものなどに分担して改善に取り組んでいけるようにもなったのも良い点だなと感じています。

―4つめの、Engagement Run! Academyへの参加は、どのような意図で取り組まれているのでしょうか?
廣澤:これは、将来的に部署内でのアンバサダーや、Wevox Communicationの講師、グループセッションのファシリテーター、Wevox関連のプロジェクトを立ち上げるようなことがあった際のメンバーになり得る人を社内に増やしていきたいという考えで行っています。現在は、私を含めて3名が参加し、Wevoxのエンゲージメント実践認定プログラム「CEEP」のLevel.1~3の取得を目指しています。次年度以降、参加者を倍々に増やしていって、向こう3年間で38名くらいが参加できるようにしたいと目標を設定しています。
エンゲージメントに関する知識をたくさん蓄えている従業員が増えることで、イノベーションも起こしやすくなるのではないかという狙いもありますね。
―活動開始から半年間で4つもの取り組みを並走させていらっしゃいますが、どのようにして、スピード感を持った活動を続けられているのでしょうか?
廣澤:基本は、私が自分自身の経験やアトラエさんの様々なイベントやコンテンツで見聞きしたことなどをもとに施策を考え、平山さんに相談して実行している状況です。おそらく他社さんと異なるプラスポイントになっているのが、平山さんが旗振り役となり話を聞いてくださるところです。上長の承認を順番にとっていくルートではなく、平山さんに相談して納得してもらえれば実験的に取り組みを進めることができているというのが、非常に良い状況だと思っています。
平山:廣澤さんと私は人間としての趣味・嗜好は全然違いますが、「会社を良くしたい」とか「エンゲージメントの高い会社にしたい」というところでは考えが非常に一致しているので、彼が熱意を持ってやってくれていることは非常にありがたいですね。私が考えている方向性に賛同してくれて一緒に走ってくれていますし、熱意を持ってやってくれていることは非常にありがたいです。今は、廣澤さんの熱意があまりに高いので、私が社内の波の起こり方を見ながら「ちょっと待って。みんながついてきてないよ」と廣澤さんのスピードを調整するような位置づけになっていますね。
廣澤:実は、今日お話しした取り組みのほとんどは、かつて、ダイバーシティに関する全社横断のプロジェクトに取り組んでいたときにメンバー内で熟考してでき上がっていたアイデアや施策がヒントになっています。9年間、毎月2時間くらいかけて協議してきた内容でしたが、様々な事情で、なかなか実を結ぶ成果には辿り着けませんでした。それでも当時のメンバー達の想いや受け継いできたものは確実に息づいており、それを糧にして取り組んでおりますので、エンゲージメント推進活動も熱量高く行えています。
加えて、今は会社の環境が変化している最中で、従業員の離職リスクが非常に高い、デリケートな時期です。本当はゆっくりと進めていきたい気持ちもありますが、自分が自分を律し主体的に動かなければならないという思いで取り組んでいますね。
―半年間の取り組みを経て、社内に変化を感じる点はありますか?
廣澤:Wevox Communicationには第一線で活躍されていた方々も参加されていて、「こういった活動は今までなかったけども応援するよ」といった励ましの言葉をいただくことがあります。会社の歴史をずっと見てきて、会社に対していろいろと思うところがある中で、それでも自分たちの活動に対して励ましの言葉をいただけるのはすごく励みになります。
また、会社の転機として、子会社化があり、経営の舵取りもまだまだ社内に浸透していないために転職者が増えても致し方ない中で、多くの社員が社内で頑張ってくださっております。このエンゲージメント推進活動が少しでも会社の未来に希望が持てる活動になることを願っています。
仲間を増やし、活動の質を高めていきたい
―お二人ご自身は、半年間でどのような気づきや学びがありましたか?
平山:実は当初は、エンゲージメントサーベイを導入するだけで「会社が変わりつつあるんだ」などと従業員の気持ちの持ち方や考え方が少しずつ変化してくれるかなという甘い考えを持っていました。ところが、開始時点でのスコアと現在のスコアを比較すると、±1の範囲での変動しかなく、決して改善もしていないし、それほど悪化もしていないという状況で、現実の厳しさを感じています。
他方で、廣澤さんを中心に社内で少しずつ、エンゲージメントについて興味を持って考える人が増えてきています。例えば、直近で実施したWevox communicationには入社3年目の社員が2人参加していました。Wevox Boardを使ってのグループセッションでは、Wevox Boardに1人ひとりの意見が均一に表示され、声の大きい人や肩書きが上の人の声に消されることがない。そして、その若い人たちの発言に、年長者たちも称賛の声を挙げていたんです。エンゲージメントの活動に資格や役職は関係ないなと感じました。
だから、これからこの会社を支えていくであろう若い人たちにどんどん意見を出してもらって、活動の質を高めていきたいなと思っています。

―平山さんご自身としては、エンゲージメントの価値や意味を今、どのように捉えていらっしゃいますか?
平山:私もこの会社に入る前までは、エンゲージメントについてここまで考えたことは正直なところ、ありませんでした。取り組みを通じて「エンゲージメントとは何だろう?」と考える中で行き着いたのは、「会社は自分と同じものだ」と考えることなのかなということです。
というのは、私にとってのエンゲージメントの初期的体験にあたるのが、最初に入社した会社の入社式で人事担当役員からの言葉でした。「ご入社おめでとうございます。あなたたちは今日からうちの会社の一員ですし、あなたたちとあなたたちの家族を含めて会社が全部面倒見ますからどうぞご安心ください」という言葉に、私はすごく驚きました。当時は終身雇用が当たり前の時代でしたが、「この会社のために頑張ろう」と素直に思ったんです。
そうやって「この会社のために頑張ろう」と会社と自分を一体化させるような思いがあれば、会社に不満があったときにも文句を言うのではなく、「こんな会社であってはいけない」「自分の好きな会社はこんな会社じゃない。だからこう変えてやる」という考え方になってくるのではないかと思うんですね。従業員1人ひとりが少しずつ「会社を変えよう」と思って動くことができればという思いで、この活動を進めていきたいです。
―廣澤さんは、半年間の取り組みでどのような気づきや学びがありましたか?
廣澤:自己成長という観点で話すと、Engagement Run! Academyが私の支えになっています。自分の知見を深めることもできますし、他社の方々と会話することで自分の会話のレベルも少しずつ上がってきていると感じます。また、Engagement Run! Academyでの学びをふまえて社内で講師の真似事をさせてもらうことによって、「情報をまとめて発信する」ということもできるようになってきました。また、個人的な将来のビジョンにも繋がってきているので、私にとってなくてはならない大事なものだと思っています。なので、できるだけずっと参加させてもらって、CEEPのLevel.3認定取得を目指して頑張っていきたいと思っています。
平山:Engagement Run! Academyで私が一番いいなと思っているのは、他社さんで頑張っていらっしゃる、同じ悩みを抱えている人たちがいるということです。会社の中でエンゲージメント推進活動に取り組んでいる人間は少数派なので、ともすれば、ものすごく孤独を感じる活動になってしまいがちです。そうして消えかけた火を再び灯すのがEngagement Run! Academyで、そこに参加して「みんな頑張ってるんだ、俺たちももう1回頑張ろう」と活動への情熱や思いを取り戻せるのがすごくいいなと思っています。
―では最後に、これからの活動の見通しや目指したい姿などについて教えてください。
平山:Wevoxの導入当初は、エンゲージメントサーベイを行うだけのツールとして考えていました。しかし今は、エンゲージメント推進活動を、土台となって支えてくれるツールとして重宝しています。今後も活用しながら、エンゲージメントを推進する仲間を少しずつ会社の中に増やしていきたいと考えています。
組織のマインドを変えていくためには一定の時間がかかりますし、上からの強制ではなく、自発的な変化でないと長続きしません。したがって、たとえ目に見えた成果が表れなくても粘り強く継続していくことが重要だと感じています。最低でも2年から3年がかりの活動になると見通しているので、他社の事例を勉強しながら取り組んでいきたいと思います。
廣澤:最終的に期待しているのは、Wevox communicationを含めた様々な施策が、社員の主体的な活動を通じて自走されるようになることです。私の手を離れていろんな人たちがWevoxを生かした形でいろんな活動をしていき、そのビジョンに向けてOODAを回しながら道を切り開き、定まった施策をPDCAを回しながら地に足の着いた制度に落とし込んでいきたいと思います。まずは、Engagement Run! Academyへの参加者を増やして社内にアンバサダーを増やしていきたいですね。








