「自走する組織」の秘訣とは?東宝・KDDIに聞く、メンバーが活動を自分ごと化するまでのリアルな奮闘談【そしきづくり博2026 書き起こしレポート】

「自走する組織」の秘訣とは?東宝・KDDIに聞く、メンバーが活動を自分ごと化するまでのリアルな奮闘談【そしきづくり博2026 書き起こしレポート】

東宝株式会社
角倉 加奈子氏
角倉 加奈子氏
東宝株式会社
コーポレート本部 人事部 ワークスタイル企画室長

2010年に新卒入社。2018年より人事部に着任し、2021年にエンゲージメント活動とサーベイの導入を発案。ワークスタイル企画室にてエンゲージメント活動の事務局として施策を展開し、2024年から現職。

木川田 めぐみ氏
木川田 めぐみ氏
KDDI株式会社
コーポレート統括本部人事本部/人財開発部 フィロソフィ推進グループ グループリーダー

「KDDIフィロソフィ」の浸透とエンゲージメント向上をミッションに掲げ、約1万1,000人を対象とした組織開発を統括。Wevoxの導入初期から関与し、現場主体と全社施策の両面での活動を推進している。

2026年3月3日(火)、アニヴェルセル表参道にて、Wevoxが主催する『そしきづくり博 2026』を開催。そのメインコンテンツの一つとして、「自分たちで作る組織づくりの秘訣〜役職を超えて組織を“自分ごと化”させるための三者三様の問いと打ち手とは」をテーマとした3社合同のクロスセッションを行いました。

エンゲージメント活動に長年取り組む東宝株式会社とKDDI株式会社さまは、何を課題と捉え、どう巻き込み、どんな壁を乗り越えてきたのか。語っていただいた現在に至るまでの「ターニングポイント」には、多くの組織にとってのヒントが詰まっています。

モデレーターであるWevoxの平井とのトークセッションのレポートを、書き起こしでお届けします。
※イベント時(2026年3月)の部署・役職になります。

司会: いよいよ皆様お待ちかねのクロストークセッションになります。テーマは「自分たちで作る組織づくりの秘訣〜役職を超えて組織を“自分ごと化”させるための三者三様の問いと打ち手とは」というテーマになります。

今の時代、特にデータの利活用、AIの目覚ましい変化、データ活用のあり方そのものも色んな変化が起きているかなと思います。これが自社の課題だ、これが対応策だという語りも少なくないかなと思います。しかし、本質的な組織づくりは経営の皆様、人事の皆様、現場の皆様、それぞれの立場で一体になって対話を重ねながら続けていく、そんな終わりのない営みです。

本セッションでは、その営みを実際に続けて、成果に繋げてこられた実践者の皆様にお話を伺いたいと思います。

それでは本日のパネリストをご紹介いたします。KDDI株式会社 木川田 めぐみ様。東宝株式会社 角倉 加奈子様。そしてモデレーターは、Wevoxチームの平井雅史が務めます。何を課題と捉え、どう巻き込み、どんな壁を乗り越えてきたのか。ここでしか聞けない実践のリアルな声に、ぜひご期待いただければと思います。

平井氏: ありがとうございます。僕の方で進行しながら進めていきたいと思います。ぜひ、いい感じの空気にしていただければ私達も喋りやすいので、よろしくお願いいたします。

流れとしては、自己紹介を先にしていただいた後、「ターニングポイント」をお話しいただきます。

お二方の会社ではもう何年もエンゲージメント活動に取り組まれているんですね。そこで、ターニングポイントを3つ挙げてくださいという課題を出させていただきました。その3つのターニングポイントについてお話をいただきながら、最後にまとめていきたいなと思っております。では、先にご登壇されるお二人から自己紹介をお願いします。

角倉氏: よろしくお願いします。東宝株式会社から参りました角倉と申します。東宝は映画、演劇などをやっております会社で、1932年に創立しました。人数は意外と少ないねと言われるんですが、500人少しでやっております(※2026年3月時点)。今、どんどん人数が増えている状況です。

映画、演劇と、あと不動産という主力事業があり、そこに4本目の柱としてアニメ事業を立てています。これらの4本柱を中心にしている会社でございます。今、『TOHO VISION 2032』という長期ビジョンや中期経営計画に基づき事業を進めているんですが、スライド右側のピラミッドが、新しい理念体系として整理したものです。こちらの実現に向かってさらに進んでいるという状況になっております。

角倉氏: 私自身は2010年に東宝に入社してから、ずっと東宝育ちです。2018年以降に人事部に着任しまして、2021年に Wevox の導入を発案しました。そこからずっとエンゲージメント活動の推進を担当し、2024年の10月からチームのマネージャー職をさせていただいております。本日は、よろしくお願いします。

木川田氏: KDDI の木川田と申します。よろしくお願いします。弊社は電気通信事業ということで、通信を軸にしながら、金融、エネルギー等の生活領域や、法人のお客さま向けのDXにも事業を展開しており、最近ですと「Real×Tech」を掛け合わせた形でローソンさんと協業するなど、新たな価値創出にも取り組んでいる会社です。

社員数が連結ベースですと6万4,000人となっておりますが、私が担当しておりますのは KDDI 本体でのエンゲージメントの取り組みで、その対象が大体1万1,000人ぐらいですね。本日はこの取り組みについてご紹介をさせていただきたいなと思っております。

スライド右側の三角形の図は、弊社の中期経営戦略の全体フレーム図になるんですが、そのトップの KDDI の企業理念を実現するために、我々は KDDI という会社が存在しているわけです。その企業理念の冒頭には、「全従業員の物心両面の幸福」という記載がございます。

これはお客さまや社会に貢献するためには、まずこの KDDI グループの中にいる社員の経済的な安定と心の豊かさが得られる環境が重要だということを謳っているわけなんです。
これは、最終的に KDDI の社員がよりよく働くことによって、企業価値も向上し、それが社会価値向上に繋がりうまく循環していく。エンゲージメントにも通じる関係であると思ってまして、弊社のエンゲージメントに取り組む意義と理解しております。

私自身ですが、人事の方で『KDDI フィロソフィ』や、先ほど申し上げた企業理念、ミッション・ビジョン・バリューにあたるような KDDI の考え方、あるいは経営する上での哲学の浸透とともに、エンゲージメントの取り組みを行っております。

2019年からエンゲージメントの取り組みを開始しまして、今日お話しさせていただく現場主体の取り組みと、会社が社員向けに取り組む全社向けの施策と、両面からこのエンゲージメントの取り組みを7年ほど試行錯誤してまいりました。本日はよろしくお願いします。

平井氏: ありがとうございます。KDDIさんも東宝さんも、誰もが知る大きな会社です。この後、お話しした通り、導入されてからのターニングポイントを伺っていこうと思います。

ターニングポイント1:導入初期の反対に、上昇しないスコア

平井氏: まず、ターニングポイント1ということで、導入初期、はじめはどんなことを考えていらっしゃったのかを、東宝さんからお願いします。

角倉氏: 東宝は2021年の7月から Wevox を導入すると同時に、エンゲージメントの向上活動を社内で開始しました。弊社は映画・演劇業界でコロナ禍の超大打撃を受け、今まで経験したことのないような不満や不安が社内に蔓延していました。その時に「人事部として何ができるんだろう」と人事部内で話し合った結果、今の「みんなの声を見える化・言える化して拾っていく仕組み」が必要なんじゃないかということで、導入を開始しました。社内名称としては『Eサーベイ』として、月に1回やり続けているような形になります。

導入を提案した際、一部の経営陣から強めの反対がありました。「労働組合があるのに、あえて人事部が匿名アンケートを取る必要があるのか」とか「声を集めること自体が人事の仕事でしょう。それをサーベイに任せちゃっていいの?」といった声があり、何度も何度も議論を重ねました。最終的な着地点としては「健康経営の一環としてやりましょう」という形で許可をいただき、21年の7月に導入に漕ぎ着けた形です。

角倉氏: 何のためにサーベイを導入するのかを分かってほしいという思いから、社内でオンライン説明会を実施しました。複数回実施することで、ほぼ対象者全員に直接説明をしてからスタートさせることができました。それ以降は、基本的にサーベイをするたびに各部門長と人事の部門長クラスがスコアを見ながら「このスコアの動きって何か背景があったんですか」というようなフィードバック会を細々とやっていました。

表立った活動ではなかったため、サーベイをやっている意義がその他の社員に全く伝わりませんでした。「月に1回来るから答えてるけど、私達は何のためにやってるんですか。エンゲージメントって本当に必要なんですか」みたいな空気になってしまいました。総合スコアは徐々に下がり続けるという形にもなりました。

「スコアの独り歩きを防ごう」「正しい意義を伝えるために、まずは部門長と話そう」という意図だったんですが、結果としてその意図が全く伝わらなくなってしまった。これは大きな反省点だったなという、導入当初のターニングポイントでした。

木川田氏: 弊社のターニングポイントをお話しする前に、ベースの考え方として「エンゲージメントは誰かに高めてもらうのではなく、自分たちの手で高めていくものだ」という考え方を持っております。

先ほど話した『KDDIフィロソフィ』の中のひとつに「ジブンゴト化する」という項目がございます。これは、ルールや人、環境のせいにしないでやっていこう。他責にした瞬間から陳腐化するという考え方なんですが、ここと絡めながらエンゲージメント活動をやってきました。

木川田氏: ターニングポイント1ですが、まずこのエンゲージメントサーベイ始める以前、2019年ぐらいまでは内製化での、従業員意識調査をしていました。ただ、集計結果を各組織に共有はしていても、フィードバックまでに時間を要してしまい、現場に届くころにはデータの鮮度が下がり、ほとんど使われていない現状がありました。

再設計するにあたり、エンゲージメントという考え方も社内に根付いていませんでしたし、それをどういう風にスケールさせていくかを考えました。

そこで、味方になってくれる仲間、アンバサダーを集めて、自分たちで自分たちの組織を作る実感を味わっていただくところからスタートしたんです。

木川田氏: 狙いとしては、そういった成功した組織の事例を、全社の各組織に成果として届けていくという形での拡大です。なかなかうまくいくわけではないんですが、当初はそういった形でした。まずはエンゲージメントとは何なのか、どのように周囲とコミュニケーション取ったらいいのかといったところを、平井さんにサポートいただきながら進めていきました。

5ヶ月間取り組みをして分かったことは、みんなと対話をしたり意識して話すことで、グループの関係性がちょっぴり良くなったなという実感が各組織に生まれてきたことです。

ただしそういった実感がありつつも、サーベイをやるとスコアには反映されないんですね。アンバサダーとして全社に伝道師として伝えてもらいたかったんですが、スコアに反映されないから、伝える側の参加組織の皆さんもなかなか自信に結びつかない。

そして更なる壁にぶち当たったのが「自分たちはコミュニケーション深めて本音で話せるようになったけど、自分たちの手だけでは解決しきれない大きな組織課題もある。こういった課題は、どう解決したらよいのだろう」という点です。

ターニングポイント1で分かったことは、エンゲージメントの取り組み初期は関係性は良くなるけど、短期間ではなかなかスコアに反映されない、スコアは結果指標であるということです。そして、「なんだか組織が良くなったかも」という声が複数の組織から寄せられていたので、方向性としては間違ってないのだろうという点が、事務局としての大きな学びであり自信にも繋がりました。ただ、「アンバサダーという肩書きをつけた取り組みは一旦やめよう」ということで、ターニングポイント2に繋がっていきます。

平井氏: 東宝さんはどちらかというと「トップダウン」に近いイメージで、KDDIさんは「ボトムアップ」的な、対照的な進め方だったなと思います。

東宝さんは「健康経営」に絡めることで導入を突破したということですが、もう一押しする時、具体的にどういう言葉を使ったんですか。

角倉氏: 最初は真正面から「エンゲージメントサーベイを入れたいんです」と言ったら「いらないでしょう」となりました。ただ、その陰には「私達は、会社は、コロナ禍でも本当に大丈夫なんですか」という社員の切実な声が人事に届いていました。当時は経営陣が直接社内にメッセージを発信する機会が少なかったこともあり、経営陣が何を考えているか分かりにくかったんです。そこで「社内に自分の感じていることを言いやすい仕組みを作り、それを会社と受け渡しすることが、健康的に働く、気持ちよく働けることに繋がる。それも健康経営に資するんじゃないか」というロジックで持っていきました。

平井氏: KDDIさんは、最後「グループだけだと解決しきれない課題がある」というお話がありました。例えばどんなことですか。

木川田氏: 弊社では組織改編が半期に1回ぐらいの頻度で比較的大きめの規模で行われます。この改編で、組織が分割されたり統合されたりすると、組織の業務分掌が細かい部分まで綺麗に整理できなかったりするケースが時折みられるんです。そして、そういった結果がスコアとして結構現れてきたりすることがあるんですね。そういった場合、自分たちの取り組みではどうしようもできなくて、「これは本部長間とか部長同士で調整してもらわないとなかなか解決できないんじゃないの?」みたいなことが起きちゃうわけですね。

平井氏: 自分たち(自助)で頑張ってるけど、経営層(共助)も何とかしてくれないと!という雰囲気になる。これ、ありますよね。

※「自助・共助・公助」についてはこちら↓
https://get.wevox.io/media/3-walls-to-organizational-development-report-2026

ターニングポイント2:「挑戦」への着目と、現場任せにしないサポート

平井氏: では、ターニングポイント2、中期の話に移りたいと思います。

角倉氏: 導入初年度の1年で、計12回スコアを取りまして、それを基にWevoxチームと一緒にレポートを作りました。そうすると、衝撃的なほど「挑戦する風土」のスコアが低いという結果が出ました。経営陣が非常に大きなショックを受けたのですが、いざレポートとしてスコアをまとめてみると「あ、みんなこう思ってたんだな」という実感が事務局にもあり、あまり大きな違和感はありませんでした。社内にレポートを展開した際も、「そうだよね」という反応で、社内で感じられていることが数値化されている、と受け取ってもらえた印象でした。

「せっかくこれだけみんなの声が集まったんだから、どうする?」ということで、次はそのスコアの低かった「チャレンジ・挑戦」に施策を注力していこうというアクションがスタートしました。

まずはWevox でさらに社内の「チャレンジ・挑戦」の感じ方を掘り下げようと「社内を取り巻くチャレンジ・挑戦の現状調査」をカスタムサーベイで行いました。そうすると「チャレンジ・挑戦しやすい風土が足りないんじゃないか」という分析結果に至りました。

そこで、『TOHO CHALLENGE AWARD』というものを2023年からやり始めました。これはチャレンジを称え合うアワードですが、大成功したもの・大規模なものを表彰するのではなく、どんな小さなものでもいいからチャレンジしたと思うものを応募してもらっています。社内で投票したり、社長や副社長に選んでもらったりしていくつかの賞は決めるものの、その挑戦の影にある努力や思いを大事にし、称賛しようという施策です。

このアワード実施をお知らせすると同時に、社長から「どうして今の会社にチャレンジや挑戦が必要なのか」というメッセージを出しました。また東宝は「人をあまり褒めない」と言われることも多い会社だったので、まずは「ありがとう」から始めようということで、Slackで『Thanks for YOU』というチャンネルを作り、気軽に褒め合うプロジェクトも実施しました。

そうやってエンゲージメントという言葉がチャレンジや挑戦という姿勢とともに広まっていった結果、事務局ではないところからも、エンゲージメント向上を意識した全社施策が出始めました。経営層と従業員が直接対話する『タウンホールミーティング』や、全社員が一堂に会する『全社員集会』を実施するようになりました。

今まで社内ではあまりなかった「自分たちの仕事をもっと知ろう」という主旨の劇場バックステージツアーや撮影所ツアーなどが、サーベイ事務局ではないところからどんどん出てくるようになりました。

結果、「ミッション・ビジョンへの共感」スコア(青)が60台から71まで、「挑戦する風土(黄)」も徐々に上がってきて、どちらも10ポイント以上上がりました。アクションすればスコアに跳ね返るんだな、ということを全社が分かった3年間でした。

木川田氏: 弊社のターニングポイント2は、先程お話した「自分たちでは解決しきれない組織課題」へのアプローチです。ライン長、つまり部長や課長といった管理職に、ちゃんとエンゲージメントに関心を持って関与してもらう必要があると考え、「そしきづくりを現場任せにしない」ということで『ライン長サポートプログラム』を開始しました。

狙いとしては、部長も課長といった組織のリーダー一同が集結して「部のエンゲージメントを考えようよ」という場を作ることです。全員セットで3ヶ月間のプログラムに参加してもらいました。その場面では、エンゲージメントがスコアとして現れてしまうので、「なんでうちは69点なんだ」としんどくなる方もいますが、「そもそもサーベイってどんなものか」「エンゲージメントって何なのか」をインプットし、「スコアが高いことだけがいいのではなくて、ありたい組織像に導けたほうがいいよね」という話を研修会社さんの力も借りながら、やっていきました。

そしてここでわかったことは、部長・課長である自分たち自身も「エンゲージメントに関わる一員なんだ」というジブンゴト化をしてくれたんですが、一方で「自分たちはメンバーのエンゲージメントを直接は高めてあげられない。やるのはやっぱりメンバー(自助)なんだ」という気づきでした。メンバーをメンバー自身でジブンゴト化するために、リーダーである自分たちはどうやって巻き込んでいったらいいんだろう、という悩みが出てきたんですね。

そして、このターニングポイントの学びは、一人ひとりがジブンゴト化するための巻き込み方や、悩みを持ったライン長同士が支え合える体制が必要だよね、ということが見えてきたフェーズでした。

平井氏: 東宝さんの『TOHO CHALLENGE  AWARD』は、具体的にどんな事例があったんですか。

角倉氏: コーポレート部門の若手の子たちが発案した「社内向けの勉強会」がある賞に選ばれ表彰されました。若手の子が「分かりにくいこのポイントを社内で理解してもらえたら、自分たちへの質問も減るんじゃないか」と発案した勉強会が、すごく分かりやすいと評判になったんです。社員投票の際に投票者からコメントをもらっていますが、この勉強会に投票した人からは「こういう取り組みにこそ光が当たってほしい」というコメントも見られました。今まで面倒で誰もやらなかったことや、小さな一歩を踏みだした人が選ばれるようになってきたので、ちょっとずつ「チャレンジング・スピリット」を大事にする空気が出てきたかなと思います。

スタートして2年は「1部署1個必ず出してください」と強制化していましたが、3年目の去年から「手挙げ」の応募に変えたところ、23部署31個のチャレンジが集まりました。意欲のある人にこの施策が広まってきた結果かなと思います。

ターニングポイント3:「自分ごと化」を促進し、自走する組織へ

平井氏: では、最後のターニングポイント3、最近の話をお願いします。

角倉氏: おかげさまで「エンプロイー・エンゲージメント(組織にチアする自発的な貢献意欲)」への活動は順調に進んできたんですが、一方で「やりがい」「達成感」「成長機会」といった「ワーク・エンゲージメント(主体的に仕事に取り組んでいる心理状態)」と呼ばれる項目が非常に伸び悩むことになりました。社内に「会社やチームがエンゲージメント上げてくれるんでしょう?」みたいな空気がなんとなくあった気がするんですね。

「じゃあ自分やチームのエンゲージメントは誰が上げるんだ」というところが、今まさに抱えている大きな課題感です。そこで、全社員向けやマネージャー向け、さらに経営層向けの研修を実施しようと、構築を進めている最中です。

角倉氏: 去年、人事制度も50年ぶりに大刷新しまして、自律的なキャリアを描きやすい仕組みに変えました。自分が望めば、やりたい仕事にタッチできるチャンスも増えています。これらの制度も活用しながら、どう個人のエンゲージメントを高めていくか。今まさにターニングポイントの真っ只中にいます。

木川田氏: ターニングポイント2のライン長向けのプログラムの後、メンバーも巻き込んで「自走可能な組織づくり」を目指し、『Wevox Boot Camp』という6ヶ月間のプログラムをスタートしたのが、ターニングポイント3です。

『Wevox Boot Camp』では、エンゲージメントの基礎理解や対話の練習、自分たちの組織として「ありたい姿」を自分たちの手で決めてアクションしていきます。

ここで分かったことは、「メンバーが同じレイヤーのメンバーを巻き込むとうまくいきやすい」ということです。同じ部署やグループにいるメンバーが「あの人がこう言ってる」ということで、徐々に言葉が届いて、ジブンゴトで決めてアクションすることが良い結果に繋がっていくんですね。

これを部単位に広めるため、45本部ほどある中で『We-POD』というプログラムを開始しました。各本部の組織開発担当の方を選定し、その人たちにやり方を伝えて自分たちの組織で実践してもらうという、各本部が自ら組織づくりをしていく形にステップアップしました。

事務局ではない「有志」でエンゲージメントの取り組みを共有するような場面も出てきて、非常に嬉しいなと思っています。2019年に当初69だった総合スコアは、直近では75まで上昇しました。来期以降は、KDDIグループ全体でナレッジを共有しながら、もっと広めていきたいと考えています。

組織づくりを自走させるために大事なこと

平井氏: 最後に、経験してきたからこそ分かる「組織づくりを自走させるために大事なこと」を教えてください。

角倉氏: いまだに答えが出ないなと思いつつですが、やはり「なぜ東宝にいるのか」をみんながそれぞれに考えることが大事なのかなと思います。なぜこの組織にいることを自分は選んだんだろう、という原点回帰ができれば、そこから「自分で自分のチームを良くしよう、それが自分の選んだ会社のためになるから」という気持ちになれるのかなと。

木川田氏:4点にまとめます。やはり経営、ミドルマネジメント、メンバーが一体となってエンゲージメントに関与すること。つまり「自助・共助・公助」のサポートが成立してこそ、自走できる組織が作られる。そして、そのための対話の手法、支え合う体制、そして人事や事務局としての伴走サポート。1人1人に火をつけていくのと、それを継続させる仕組み。この両輪が、現時点では必要かなと思っております。

平井氏:ありがとうございます。私も「自助・共助・公助」を両立する重要性は、実はお二人と一緒にやってきて気づいたことなんです。初めは「どれか1つから行けばいけるだろう」と思っていましたが、だんだんやっていくと「あ、やっぱり全部やらなきゃ」と。それを一緒にやらせていただいたお二人と、今日はお話しさせていただきました。

改めて拍手をお願いいたします。ありがとうございました。

(平井コメント: お二人のお話から、共通して「意義の浸透」と「自分ごと化」の重要性が見えてきました。また、反対を乗り越えるための言葉の変換の工夫や、現場を孤立させないための支援は、業種を問わず活かせる知恵です。
この記事が、これからのエンゲージメント活動について考えるきっかけになれば幸いです。一緒に、組織の力を引き出していきましょう!)

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