【アサーションとは?】健全な自己表現で組織を強くするコミュニケーション術を徹底解説

ビジネススキル・知識
サマリー

アサーションとは、相手を尊重しながら、自分の意見や感情、要求を率直かつ誠実に伝えるコミュニケーションスタイルです。意見を言えずに我慢する「非主張的」でも、一方的に主張を押し通す「攻撃的」でもない「第三の選択肢」として、職場の誤解を防ぎ、建設的な人間関係を築く上で非常に有効です。 「I(アイ)メッセージ」を使い、事実・感情・要求を具体的に伝える実践ポイントを解説。特に人事・管理職がアサーションを習得することで、チーム内の心理的安全性が向上し、部下の主体性やエンゲージメントが高まります。また、ハラスメントの未然防止や業務効率化に繋がり、組織全体の生産性向上と健全な成長を実現できます。このコミュニケーションスキルが、風通しの良い強い組織文化を築く第一歩となるでしょう。

栗山ミキオ
解説者:栗山ミキオ

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。

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アサーションとは?:健全な自己表現で組織を強くするコミュニケーション術

職場のコミュニケーションに課題を感じていませんか?意見が言いにくい雰囲気、指示が曖昧で意図が伝わらない、ハラスメントの懸念など、様々な悩みが組織の活力を低下させる可能性があります。

アサーションとは、自分の意見や感情、要求を、相手を尊重しながら、率直かつ誠実に伝えるコミュニケーションのスタイルを指します。一方的に自分の主張を押し通す「攻撃的な態度」でもなければ、自分の意見を言わずに我慢する「非主張的な態度」でもありません。これは、自分自身の権利も相手の権利も同じように大切にする、健全な自己表現の方法です。

特に、職場の誤解を防ぎ、建設的な人間関係を築く上で非常に有効なスキルとして注目されています。お互いを尊重し、正直な気持ちを伝え合うことで、より円滑なコミュニケーションを促し、組織全体の心理的安全性を高めることにも繋がります。

「非主張的」「攻撃的」ではない、相互理解を深める第三の選択肢

私たちは普段の会話で、自分の意見を伝える際に迷うことがあります。例えば、意見が食い違う場面で、相手に遠慮しすぎて何も言えなくなるのは「非主張的」な態度です。この場合、自分の感情やニーズが満たされず、ストレスが蓄積しやすくなります。逆に、相手の意見を頭ごなしに否定したり、高圧的に自分の意見を押し付けたりするのは「攻撃的」な態度と言えます。これは相手を傷つけ、人間関係に亀裂を生じさせる原因となります。

アサーションは、このどちらでもない、「私はこう思う」「私はこうしたい」と、主語を「私」にして具体的に伝える方法です。相手の気持ちにも配慮しつつ、自分の考えを明確にすることで、建設的な対話が生まれ、互いの理解を深めることができます。これは単なる「自己主張」ではなく、「相互理解」を目指すコミュニケーションの技術と言えるでしょう。

実践!アサーションのための効果的な3つのポイント

アサーションを日々のコミュニケーションで実践するためには、いくつかのポイントがあります。

  1. 「I(アイ)メッセージ」を使う

    「あなたは~すべきだ」という相手を責めるような「You(ユー)メッセージ」ではなく、「私は~だと感じます」「私は~してほしい」と、自分の主観や感情を伝えるようにします。これにより、相手は攻撃されたと感じにくくなり、あなたの意図をより受け入れやすくなります。

  2. 事実と感情、そして要求を明確にする

    客観的な事実に基づいて自分の気持ちを述べ、具体的に何を求めているのかを伝えます。「〇〇という事実があり、私は△△だと感じています。ついては、□□していただけると助かります」といった順序で伝えることで、曖昧さを避け、相手も具体的な行動を検討しやすくなります。

  3. 具体的かつ簡潔に伝える

    伝える内容は、長々と説明するのではなく、焦点を絞って具体的かつ簡潔に述べることが大切です。曖昧な表現や遠回しな言い方は避け、相手に正しく意図が伝わるように心がけましょう。また、話す際は相手の目を見て、誠実な態度で伝えることが信頼感を高めます。

人事・管理職がアサーションを習得すべき理由:組織変革へのインパクト

人事や管理職の皆様にとって、アサーションは個人のスキルに留まらず、組織全体のコミュニケーション改善と成長に不可欠な戦略的なスキルです。

  • 心理的安全性の向上と自律的な組織作り

    管理職がアサーションを実践することで、部下の意見を丁寧に引き出しやすくなり、また、自分自身の指示や期待も曖昧さなく明確に伝えられるようになります。これにより、「言いたいことが言える」「自分の意見が尊重される」という信頼関係が深まり、チーム内の心理的安全性が飛躍的に高まります。結果として、部下は主体的に業務に取り組み、自律的なチームへと成長していくでしょう。

  • ハラスメントの未然防止と健全な職場環境

    従業員が自分の意見を伝えやすい雰囲気は、ハラスメントの未然防止にも繋がります。不満や異論が適切に表現されることで、問題が顕在化する前に対応できるようになり、不適切な行動の発生を抑制します。アサーションを基盤としたコミュニケーションは、風通しが良く、従業員一人ひとりが安心して働ける健全な職場環境を醸成します。

  • 従業員エンゲージメントの向上と生産性アップ

    自分の意見が尊重され、建設的なフィードバックが飛び交う環境は、従業員一人ひとりのエンゲージメント向上に直結します。エンゲージメントの高い従業員はモチベーションが高く、業務に対するオーナーシップも向上するため、結果として組織全体の生産性向上に貢献します。曖昧な指示による手戻りや無用なストレスも減り、業務効率化にも繋がるのです。

アサーションは、単なる会話術ではなく、組織の課題を解決し、持続的な成長を支えるための重要な柱となり得るのです。

関連する参考記事

人が2人以上集まれば異なる意見で対立することは当たり前に起こります。特に職場のチーム基盤ができてくると、各自が思う事を自由に発言できるようになる(心理的安全性が高まった状態となる)ため対立が起きやすくなります。この対立をネガティブに捉えず、コラボレーション(協創)の源泉だと考える対立対応アプローチがあります(※)。チームスキル研究所では、「対立の創造的活用」についてのトレーニングを提供しています。 (※参考図書は、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「協力のリーダーシップ」、ダイヤモンド社 )

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まとめ:アサーションが拓く、風通しの良い組織文化

アサーションは、自分と相手、双方の権利を尊重しながら率直に意見を伝え合う、健全なコミュニケーションスタイルです。非主張的でも、攻撃的でもない「第三の選択肢」として、特にビジネスシーンでの重要性が高まっています。

人事・管理職の皆様がアサーションを習得し実践することで、チーム内の心理的安全性が向上し、部下の主体性やエンゲージメントが高まります。また、ハラスメントの未然防止や業務効率化にも繋がり、組織全体の生産性向上と健全な成長を実現できます。

「I(アイ)メッセージ」の使用や、事実・感情・要求の明確化といったポイントを意識し、日々のコミュニケーションに取り入れてみてください。

記事監修者

長瀬 光弘
長瀬 光弘
DIO編集長/ライター

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。

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