キャリアアップ助成金とは?非正規雇用者の成長支援策

キャリアアップ助成金とは?非正規雇用者の成長支援策

制度・働き方
サマリー

キャリアアップ助成金は、パートや契約社員などの非正規雇用労働者の正社員転換、スキルアップ研修、賃金改善などを支援する国の助成金です。この制度は、非正規雇用者のキャリアアップを促進し、モチベーション向上や人材定着を後押しします。企業は、優秀な人材の確保・育成、生産性向上、競争力強化を低コストで実現できるメリットがあります。正社員化コース、人材育成コース、賃金規定等改定コースなどがあり、計画書提出や法令遵守が受給の鍵。人事・管理職が活用することで、従業員の成長と企業の持続的発展を両立させることが可能です。

栗山ミキオ
解説者:栗山ミキオ

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。

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キャリアアップ助成金とは? その目的と重要性

キャリアアップ助成金は、企業が非正規雇用労働者(パート、アルバイト、契約社員など)のキャリアアップを促進するための取り組みを行った際に、国から支給される助成金です。この制度は、非正規雇用で働く方々の待遇改善や能力向上を目的としています。具体的には、正社員への転換、専門的なスキルを習得させるための研修、賃金規定の見直しによる基本給の底上げなど、多様な取り組みが対象となります。

企業にとっては、優秀な人材の定着や育成を促し、組織全体の生産性向上にも繋がる戦略的な支援策です。意欲ある従業員の成長を支援することで、企業と従業員双方にとって良い循環を生み出すことを目指しています。

従業員の定着率向上とエンゲージメント強化

非正規雇用労働者に正社員化やスキルアップの機会を提供することは、「会社が自分の成長を応援してくれている」という安心感や信頼感を生み出します。これにより、従業員のモチベーションが高まり、長期的なキャリア形成を見据えて会社に貢献しようとする意欲が向上します。結果として、離職率の低下に繋がり、安定した人材基盤を築くことができます。

優秀な人材確保と育成コストの最適化

キャリアアップの道筋が明確な企業は、意欲の高い人材にとって魅力的な職場となります。助成金を活用することで、人材投資にかかるコストを軽減しつつ、計画的な育成を通じて、組織全体のパフォーマンス向上に繋がる優秀な人材を確保し、育てることが可能になります。質の高い人材戦略を経営負担を抑えながら実行できる点は大きな魅力です。

企業ブランド価値の向上と採用競争力の強化

キャリアアップ助成金を活用し、積極的に従業員の成長を支援しているという事実は、企業の「人を大切にする」という姿勢を社内外に強くアピールします。これは、企業のブランドイメージ向上に繋がり、優秀な人材の採用活動において大きなアピールポイントとなります。多様な働き方に対応し、従業員のエンゲージメントが高い企業は、変化の激しい現代において持続的な成長を遂げるための強い基盤を築くことができます。

どんな取り組みが対象? キャリアアップ助成金の主要コース

キャリアアップ助成金には、企業の状況や目的に応じて活用できるいくつかのコースが設けられています。

正社員化コース:雇用の安定とキャリアパスの提供

契約社員やパートタイマーなどを正社員に転換した場合に支給されます。従業員の雇用安定とモチベーション向上に大きく貢献するだけでなく、企業は長期的な視点で人材を育成し、主要な戦力として活用できるメリットがあります。

人材育成コース:従業員のスキルアップと生産性向上

非正規雇用労働者に対して、業務に必要な専門知識や技術を習得させるための訓練(研修)を実施した場合に支給されます。従業員のスキルアップは、個人の成長だけでなく、企業の競争力強化に直結します。新たなスキルや知識を持つ従業員が増えることで、組織全体の生産性が向上し、事業の発展に寄与します。

賃金規定等改定コース:公平な評価と待遇改善によるモチベーション向上

非正規雇用労働者の基本給を増額する賃金規定の改定や、共通の手当制度を導入した場合に支給されます。待遇改善は、従業員の生活安定と仕事への満足度を高め、「この会社で長く働きたい」というエンゲージメントを強化します。これにより、従業員はより安心して業務に集中し、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

助成金を受け取るための申請フローと注意点

キャリアアップ助成金を受け取るためには、計画的な準備と適切な手続きが成功の鍵となります。

計画策定から申請までのステップ

取り組みを開始する前に、「キャリアアップ計画書」を管轄の労働局に提出し、認定を受けることが必須です。計画書には、どのような取り組みを行うのか、いつからいつまで実施するのかなどを具体的に記載します。この計画書が、助成金受給の第一歩となります。

法令遵守と適切な記録管理の重要性

計画に沿って取り組みを確実に実施し、その記録を適切に残す必要があります。例えば、正社員化であれば雇用契約書の変更、人材育成であれば研修の実施記録など、客観的な証拠が必要です。また、就業規則の整備や、労働関係法令を遵守していることも大前提となります。これらの遵守は、円滑な申請と受給のために不可欠です。

専門家の活用と最新情報への対応

申請手続きは書類作成や計画実施後の報告など、一定の手間と時間がかかります。専門的な知識が必要となる場合もあるため、社会保険労務士などの専門家への相談も有効な手段です。制度の内容は改正されることがありますので、常に厚生労働省のウェブサイトなどで最新の情報を確認し、要件を満たしているか丁寧にチェックすることが不可欠です。

まとめ

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の成長を後押しし、企業の持続的な発展に貢献する重要な制度です。人事・管理職の皆様は、この助成金を活用することで、従業員の定着率向上、優秀な人材の確保、企業ブランドの強化といった多大なメリットを享受できます。

記事監修者

長瀬 光弘
長瀬 光弘
DIO編集長/ライター

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。

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