「ワーク・ライフ・バランス」とは?定義・メリット・課題を徹底解説

「ワーク・ライフ・バランス」とは?定義・メリット・課題を徹底解説

制度・働き方
サマリー

ワーク・ライフ・バランスは、仕事と私生活の調和により、個人と組織の持続的な成長を促す重要な経営戦略です。単なる仕事減らしではなく、従業員の心身の健康維持やモチベーション向上、キャリア継続を支援し、人生の満足度を高めます。

企業にとっては、生産性向上、優秀な人材の確保・定着、企業イメージ向上、イノベーション創出に直結。フレックスタイムやテレワーク等の柔軟な制度導入、効率的な働き方、管理職のリーダーシップが推進の鍵です。

栗山ミキオ
解説者:栗山ミキオ

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。

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ワーク・ライフ・バランスがもたらすメリット:個人と組織の成長のために

ワーク・ライフ・バランスの推進は、従業員個人のウェルビーイング向上だけでなく、企業全体に計り知れないメリットをもたらします。個人が仕事と生活の調和を実現することで、心身ともに健康を保ち、高いモチベーションで業務に取り組むことができます。これにより、企業の生産性向上、従業員定着率の改善、さらには企業ブランド価値の向上にも繋がります。人事や管理職の方々には、これらのメリットを深く理解し、自社の施策にどう活かしていくかを検討していただきたいです。

個人の人生を豊かにする効果

ワーク・ライフ・バランスが整うことで、個人は心身ともに健康な状態を維持しやすくなります。過労による体調不良や精神的な不調のリスクが減り、ストレス軽減に繋がります。また、プライベートな時間が増えることで、趣味や自己啓発、家族とのコミュニケーションに時間を割けるようになり、人生の満足度が向上します。これは、仕事へのモチベーションを高め、より集中して生産的に業務に取り組む原動力となります。さらに、育児や介護といったライフイベントに柔軟に対応できることで、キャリアを諦めることなく働き続けられるようになり、個人の自己実現にも大きく貢献します。

企業が競争力を高めるための重要な要素

企業にとってワーク・ライフ・バランスの推進は、優秀な人材の確保と定着に不可欠です。多様な働き方を求める従業員にとって、柔軟な制度がある企業は魅力的に映ります。結果として、離職率の低下や採用競争力の強化に繋がります。また、従業員の心身の健康が保たれることで、集中力や創造性が高まり、生産性の向上が期待できます。さらに、多様な背景を持つ従業員が働きやすい環境は、組織のダイバーシティ推進に繋がり、新しい発想やイノベーションを生み出す土壌を育みます。企業の社会的責任(CSR)の観点からも、企業イメージの向上に大きく貢献し、顧客や株主からの信頼獲得にも繋がります。

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また、採用市場が売り手優位になっている今、他社は従業員エンゲージメントの向上やワークライフバランスの実現、健康経営などを通じて従業員に寄り添い、並走することに注力しています。それなのに当社は取り組んでいないとなると、求職者の方々に選んでいただけません。この点でも、関係する皆さんに相談したり支援をいただいたりしながらエンゲージメントの質を高めていければと思っています。

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ワーク・ライフ・バランスを実現するための具体的な取り組み

ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、企業側の制度設計と、従業員個人の意識改革・実践の両輪が不可欠です。企業は、柔軟な働き方を可能にする制度を導入し、それを適切に運用するための環境を整える必要があります。一方、従業員も、与えられた制度を最大限に活用し、自律的に自身のワーク・ライフ・バランスを管理する意識を持つことが重要です。貴社でどのような取り組みが可能か、またそれをどう浸透させていくかを検討する際の参考にしてください。

企業が制度として推進すべきこと

企業がワーク・ライフ・バランスを推進するためには、まず柔軟な働き方を可能にする制度の導入が重要です。具体的には、フレックスタイム制度、テレワーク(リモートワーク)制度、短時間勤務制度、育児・介護休業制度の拡充などが挙げられます。また、制度を絵に描いた餅にしないためには、ノー残業デーの徹底や、年次有給休暇の取得促進、サテライトオフィスやコワーキングスペースの活用など、長時間労働を抑制し、効率的に働ける環境づくりが不可欠です。さらに、従業員の心身の健康をサポートするため、定期的なストレスチェックやメンタルヘルス相談窓口の設置、福利厚生の充実も欠かせません。

個人が主体的に実践できること

ワーク・ライフ・バランスは、企業からの制度提供だけでなく、個人の主体的な取り組みによっても大きく変わります。従業員は、与えられた制度を積極的に活用し、自身の働き方をデザインする意識が求められます。例えば、効果的な時間管理術を習得し、業務の優先順位付けや集中力の維持に努めることが重要です。また、仕事とプライベートの境界線を明確にするため、勤務時間外は通知を切る、プライベートな予定をしっかり立てるといった工夫も有効です。自身のキャリア形成や能力開発に時間を投資したり、心身の健康を保つための休息やリフレッシュの時間を意識的に確保したりすることも、バランスの取れた生活に繋がります。

組織全体で推進する文化とマネジメント

ワーク・ライフ・バランスの取り組みで成果を上げている企業には、いくつかの共通点が見られます。第一に、経営層が強いリーダーシップを発揮し、本気で多様な働き方や従業員支援に取り組む姿勢を明確に示しています。これにより、全社的に意識が浸透しやすくなります。第二に、制度を導入するだけでなく、従業員がそれらを実際に利用しやすいような企業文化を醸成しています。「制度はあるが、利用しにくい雰囲気がある」といった状態をなくすため、管理職への研修やロールモデルの提示なども行われています。管理職は、部下の個別の状況を理解し、1on1ミーティングなどを通じて心理的安全性の高いチーム環境を構築することが極めて重要です。また、従業員の意見を吸い上げ、制度を継続的に見直し、改善している点も共通しています。これにより、常に時代の変化や従業員のニーズに合った最適な環境を提供し続けることが可能になります。

現代社会におけるワーク・ライフ・バランスの課題と背景

ワーク・ライフ・バランスの重要性が叫ばれる一方で、その実現には様々な課題が伴います。現代社会の急激な変化は、新たな課題を生み出し、企業や個人がワーク・ライフ・バランスを追求する上での複雑性を増しています。少子高齢化や共働き世帯の増加といった社会構造の変化だけでなく、テクノロジーの進化による働き方の変化も、その背景にあります。人事や管理職の方々には、これらの課題を理解し、適切な対応策を講じることが、持続可能な組織運営にとって不可欠です。

少子高齢化や多様な働き方への対応

日本の少子高齢化の加速は、労働力人口の減少と同時に、育児や介護をしながら働く従業員の増加を意味します。これにより、従業員一人ひとりのライフステージや抱える事情が多様化し、企業は画一的な制度ではなく、より柔軟で個別のニーズに対応できる働き方を提供する必要に迫られています。育児や介護に加えて、ボランティア活動、自己啓発、副業など、従業員が仕事以外の活動に時間を割きたいと考える傾向も強まっています。これらの多様な働き方への対応は、企業にとって人材の確保・定着のための重要な課題であり、組織全体の生産性やエンゲージメントにも直結します。

リモートワーク時代の新たな課題

コロナ禍を経て急速に普及したリモートワークは、ワーク・ライフ・バランスの実現に新たな課題をもたらしました。通勤時間の削減などメリットがある一方で、仕事とプライベートの境界線が曖昧になることで、長時間労働につながったり、精神的なオンオフの切り替えが難しくなったりするケースが見られます。また、コミュニケーション不足による孤立感や、成果が見えにくいことへの不安なども生じやすくなっています。さらに、全ての職種や役割でリモートワークが可能なわけではなく、従業員間での働き方の不公平感が生まれるリスクもあります。これらの課題に対し、企業は明確なルール作りやコミュニケーションの工夫、適切な人事評価制度の再構築が求められます。

組織の壁を越えるWLB推進のヒント

ワーク・ライフ・バランスの推進は、単に制度を導入するだけでは成功しません。組織の各部門間での理解の醸成や、従業員個々の価値観の尊重が不可欠です。例えば、部署によっては業務の特性上、柔軟な働き方が難しい場合もありますが、そのような場合でも「なぜ難しいのか」「他に代替案はないか」を丁寧に議論し、理解を深める努力が必要です。また、制度導入後の従業員の声を定期的に吸い上げ、課題を早期に発見し、改善していくPDCAサイクルを回すことが重要です。トップダウンの推進だけでなく、従業員が自らWLBについて考え、提案できるボトムアップの仕組みも取り入れることで、より組織に根ざしたWLB文化を育むことができます。

ワーク・ライフ・バランスとは?仕事と生活の調和が生み出す新たな価値

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を耳にしない日はないほど、現代社会においてその重要性は増しています。これは単に「仕事の時間を減らす」という意味ではありません。仕事と私生活(家庭、育児、介護、地域活動、自己啓発など)が調和し、どちらも充実している状態を指します。個人が仕事で能力を発揮しながら、同時に私生活も豊かに送れるようにすることを目指します。これにより、従業員のエンゲージメントを高め、企業全体の生産性向上や持続的な成長に繋がる新しい価値を生み出す重要な経営戦略と位置づけられています。

誤解されがちな定義と本質:単なる「仕事減らし」ではない

ワーク・ライフ・バランスは、「仕事をセーブしてプライベートを優先する」という誤解をされることが少なくありません。しかし、その本質は「仕事か生活か」という二者択一ではなく、「仕事と生活の間に良い相乗効果を生み出すこと」にあります。例えば、私生活での経験や学びが仕事に活かされたり、逆に仕事で得たスキルや達成感が私生活の充実につながったりする状態です。重要なのは、個人が自身の価値観やライフステージに合わせて、仕事と生活のバランスを主体的にデザインできることです。企業は、従業員がこのような調和を実現できるよう、柔軟な働き方や支援制度を提供することが求められます。

日本におけるワーク・ライフ・バランスの歴史的背景と重要性

ワーク・ライフ・バランスという概念は、もともとアメリカで女性の社会進出が進む中で生まれたものです。日本では、少子高齢化の進展や共働き世帯の増加、介護問題の深刻化などを背景に、2000年代以降にその重要性が急速に認識されるようになりました。特に、働き方改革関連法の施行により、長時間労働の是正や多様な働き方の推進が国を挙げて進められ、企業にも具体的な取り組みが求められるようになりました。これにより、従業員一人ひとりがそれぞれの状況に応じて、仕事と生活のバランスをとりながら働き続けられる環境を整備することが、企業の競争力維持・向上に不可欠であるという認識が広がっています。

国が推進するワーク・ライフ・バランス:憲章と法律が示す方向性

日本政府は、ワーク・ライフ・バランスの実現を「仕事と生活の調和」と位置づけ、その推進に力を入れています。内閣府が策定した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、「経済的自立ができる」「健康で豊かな時間を持てる」「多様な働き方・生き方が選択できる」の3つの目標を掲げ、社会全体で実現すべき理想像を示しています。また、育児・介護休業法や働き方改革関連法などの関連法規によって、育児や介護と仕事の両立支援、柔軟な働き方の導入、長時間労働の是正などが義務付けられたり推奨されたりしています。これらの取り組みは、企業が従業員の多様なニーズに応え、持続可能な組織を築くための指針となっています。

ワーク・ライフ・バランスのその先へ:新しい概念「ワーク・ライフ・インテグレーション」

ワーク・ライフ・バランスの概念が定着する中で、さらに進んだ考え方として「ワーク・ライフ・インテグレーション」が注目されています。これは、「仕事と生活を区別してバランスを取る」というよりは、「仕事と生活を融合させ、お互いを高め合う関係を築く」という考え方です。例えば、柔軟な働き方によって仕事中に子どもの送り迎えができたり、趣味の活動が仕事のアイデアに繋がったりするなど、どちらか一方を犠牲にするのではなく、それぞれの要素が相互に作用し、より充実した人生を送ることを目指します。これは、特にリモートワークが普及した現代において、仕事と生活の境界が曖昧になりやすい状況を前向きに捉える視点とも言えます。

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まとめ:ワーク・ライフ・バランスは持続可能な組織成長の鍵

ワーク・ライフ・バランスは、単なる従業員への配慮ではなく、企業が持続的に成長し、変化の激しい現代社会で競争力を維持するための重要な経営戦略です。従業員一人ひとりが、仕事と生活の調和を通じて心身ともに健康で高いモチベーションを維持できることは、生産性の向上、優秀な人材の確保と定着、そして新たなイノベーションの創出に直結するのです。

記事監修者

長瀬 光弘
長瀬 光弘
DIO編集長/ライター

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。

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