コワーキングとは?メリット・選び方まで解説

コワーキングとは?メリット・選び方まで解説

制度・働き方
サマリー

コワーキングとは、多様な人々が共同で働き、互いに刺激し合う新しいワークスタイル。低コストで集中できる環境に加え、偶発的な出会いやビジネスチャンス、学びの機会が魅力です。雑音やセキュリティなどのデメリットへの対策、シェアオフィスやレンタルオフィスとの違いを解説。無料Wi-Fi、会議室といった機能、会員制やドロップイン制の料金体系、立地・設備・コミュニティの選び方を紹介します。フリーランス、リモートワーカー、スタートアップ、学生まで、最適なコワーキングスペースの活用法を探しましょう。

栗山ミキオ
解説者:栗山ミキオ

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。

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はじめに:新しい働き方「コワーキング」とは?

近年、私たちの働き方は大きく変化し、働く場所や時間の柔軟性が求められるようになりました。そんな中で注目されているのが「コワーキング」という働き方です。これは、特定の会社に属さず、様々な業種や職種の人が同じ場所で働くスタイルを指します。集中できる環境を低コストで手に入れられるだけでなく、思わぬ出会いや学びの機会が生まれる、単なる作業場所を超えたコミュニティの価値も提供しています。

コワーキングの言葉の意味と歴史

「コワーキング(Coworking)」という言葉は、「Co(共同の)」と「Working(働く)」を組み合わせた造語で、その名の通り「共同で働く」という意味を持ちます。これは単に同じ空間にいるだけでなく、緩やかなつながりの中で互いに協力し、刺激し合うというニュアンスを含んでいます。その起源は2000年代初頭のアメリカ・サンフランシスコと言われています。フリーランスやスタートアップ企業が増加する中で、自宅以外の集中できる作業場所や、人との交流を求める声が高まり、この新しい働き方が世界中に広まりました。日本でも、働き方改革やリモートワークの普及を背景に、多くのコワーキングスペースが誕生し、多様な働き方を支える存在となっています。

コワーキングのメリット

コワーキングスペースを利用することで、働く人々、そして企業にとって多くの利点があります。ここでは、特に重要なメリットを具体的にご紹介します。

雑談や交流による新たな発見・ビジネスチャンス

コワーキングスペースでは、様々なバックグラウンドを持つ人々が隣り合って働いています。休憩時間やランチタイムでの何気ない雑談がきっかけとなり、新たなアイデアや情報が得られることがあります。また、自分の専門分野とは異なる視点に触れることで、既存の課題解決のヒントや、思いがけないビジネスパートナーとの出会いに繋がるケースも少なくありません。こうした偶発的な出会いは、オープンな環境ならではの大きな魅力と言えるでしょう。

仲間との縁が生まれるコミュニティ形成

コワーキングスペースは、単なる作業場所ではなく、「コミュニティ」としての側面も持っています。定期的にイベントが開催されたり、共有スペースでの自然な交流が促進されたりすることで、利用者同士のつながりが深まります。同じような境遇の仲間と情報交換をしたり、互いに励まし合ったりすることで、自宅で一人で作業する際の孤独感を解消し、モチベーションの維持にも繋がります。これにより、精神的な安定や仕事の質向上にも貢献します。

勉強会やセミナーによる学びの機会

多くのコワーキングスペースでは、利用者向けの勉強会やセミナー、交流会などを企画・開催しています。これらのイベントでは、専門家を招いた講演や、利用者同士のスキルシェアなど、多岐にわたるテーマが扱われます。普段は接点のない分野の知識を深めたり、最新のトレンドを学んだりする機会が豊富に提供されているため、自己成長やスキルアップに役立ちます。企業にとっては、従業員のリスキリングや能力開発の場としても活用できるでしょう。

集中できる環境の確保

自宅でのリモートワークでは、家族の生活音や家事、誘惑などで集中力が途切れがちになることがあります。一方、コワーキングスペースは、仕事に集中できるよう設計された環境です。周囲で集中して作業している人々の存在も、良い刺激となり、自身の集中力を高める効果が期待できます。高速Wi-Fiや電源など、仕事に必要なインフラが整備されているため、生産性を落とすことなく業務に取り組める点も大きなメリットです。

低コストでのインフラとワークスペースの利用

オフィスを構えるには、賃料や光熱費、インターネット回線、オフィス家具、複合機など、多額の初期費用とランニングコストがかかります。コワーキングスペースを利用すれば、これらのインフラを低コストで利用できます。必要な時だけ使えるドロップインプランや、月額制のメンバーシップなど、利用状況に合わせた柔軟な料金体系が用意されているため、費用を抑えながら快適なワークスペースを確保することが可能です。特に起業家やフリーランス、リモートワーカーを多く抱える企業にとって、コスト削減に直結します。

多様な働き方への対応(プランの柔軟性、専用ブースなど)

コワーキングスペースは、利用者の多様なニーズに応えるために、様々なプランや設備を提供しています。例えば、時間貸し、日単位、月単位といった柔軟な料金プランがあるため、必要な時だけ利用したり、定期的に利用したりと、働き方に合わせて選べます。また、オープンスペースだけでなく、集中したい時のための個室ブースや、オンライン会議に適したフォンブース、チームでのミーティングに使える会議室なども完備されています。これにより、様々な業務内容や働くスタイルに対応できる点が魅力です。

コワーキングのデメリットと対策

コワーキングスペースには多くのメリットがありますが、利用する上で注意すべき点もいくつか存在します。しかし、それらのデメリットには適切な対策を講じることが可能です。

雑音が多い・周囲の話し声が気になる

オープンスペースでは、周囲の利用者の電話や会話、キーボード音などが気になる場合があります。特に、静かな環境で集中したい業務には不向きと感じるかもしれません。

  • 対策:多くのコワーキングスペースには、集中ブースやサイレントエリアが設けられています。これらを積極的に活用しましょう。また、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンを使用することも有効です。事前にスペースの雰囲気を確認し、自身の集中スタイルに合った場所を選ぶことが重要です。

ワークスペースが狭い、プライバシーの確保が難しい

オープンスペースのデスクは、一般的なオフィスデスクよりもスペースが限られていることがあります。また、隣の席との距離が近く、プライベートな情報が見えてしまう、あるいは聞かれてしまうリスクも考えられます。

  • 対策:プライバシーが気になる場合は、パーテーションで区切られた席や、より閉鎖的な個室に近いブースがあるスペースを選びましょう。また、画面ののぞき見防止フィルターを使用したり、機密性の高い作業は専用の個室や会議室を利用したりするなど、自己管理を徹底することが大切です。

コミュニティでの人間関係の悩み

交流が活発なコワーキングスペースでは、人との関わりが増える分、人間関係に悩むこともあるかもしれません。強制的な交流を苦手と感じる方もいるでしょう。

  • 対策:コミュニティの雰囲気が合わないと感じた場合は、複数のコワーキングスペースを試してみるのも良い方法です。スペースによっては、交流を重視するものから、個人の作業に特化したものまで様々です。また、適度な距離感を保ち、無理のない範囲で交流に参加することで、快適な関係を築くことができます。

情報漏洩・セキュリティリスク

共有空間であるため、個人情報や企業秘密など、機密情報の取り扱いには特に注意が必要です。PC画面の覗き見や書類の紛失、共有Wi-Fiのセキュリティリスクなども懸念されます。

  • 対策:機密性の高い作業は個室を利用するか、持ち出しを控えるなど、細心の注意を払いましょう。PCには画面の覗き見防止フィルターを装着し、離席時には必ずロックをかける習慣をつけます。共有Wi-Fiを利用する際は、VPN(仮想プライベートネットワーク)サービスを活用するなど、セキュリティ対策を徹底することが不可欠です。

コワーキングと他のワークスペースとの違い

多様な働き方が広がる中で、コワーキング以外にも様々なワークスペースが存在します。それぞれの特徴を理解することで、自社や従業員のニーズに合った最適な場所を選ぶことができます。

シェアオフィスとの違い

「シェアオフィス」は、文字通りオフィス空間を複数の企業や個人で共有する形態です。一般的に、コワーキングよりも「作業空間の共有」に重きを置く傾向があります。デスクや会議室といった設備を共有し、コストを抑えながらオフィス機能を利用できる点が特徴です。コワーキングのように積極的なコミュニティ形成や交流イベントが必須ではない場合が多く、純粋に働く場所を求めている利用者にとって選択肢となります。

レンタルオフィスとの違い

「レンタルオフィス」は、鍵付きの個室を契約して利用する形態が一般的です。専用の空間が確保されるため、プライバシーやセキュリティが保たれやすいという点が大きな違いです。法人登記や郵便物受け取りサービスも充実しており、小規模ながらも独立したオフィスを持ちたい企業や個人に適しています。コワーキングのようなオープンスペースでの交流は期待できませんが、自社専用の空間で集中して業務を行いたい場合に選ばれます。

バーチャルオフィスとの違い

「バーチャルオフィス」は、物理的な執務スペースは持たず、住所や電話番号などの「ビジネス上の拠点」だけを借りるサービスです。実際にオフィスを利用することはなく、主なサービスは法人登記、郵便物転送、電話代行などになります。コワーキングやシェアオフィスのように作業場所を提供するものではなく、あくまでも「名目上のオフィス機能」を求める場合に利用されます。コストを極限まで抑えたい企業や、自宅で作業するフリーランスに選ばれています。

サテライトオフィスとの違い

「サテライトオフィス」は、企業の中心拠点(本社など)から離れた場所に設置される小規模なオフィスのことです。従業員の通勤負担軽減や、BCP(事業継続計画)対策、地方での採用強化などを目的に企業が設置します。コワーキングスペースをサテライトオフィスとして利用することも可能ですが、「自社のために設置された専用の場所」という意味合いが強く、企業が主導で運営管理を行います。コワーキングは不特定多数の利用者が主体である点が異なります。

ノマドワーク・テレワークとの違い

「ノマドワーク」や「テレワーク」は、「働き方」そのものを指します。ノマドワークは場所にとらわれずに働くスタイル、テレワークはICTを活用して場所や時間にとらわれずに働くことです。これらは働く場所を問わない働き方であり、コワーキングスペースは、その「働く場所の選択肢の一つ」という関係性になります。自宅やカフェ、図書館など、様々な場所でノマドワークやテレワークを行いますが、コワーキングはその中でも特に仕事に特化したインフラとコミュニティを提供する場所と言えます。

コワーキングスペースの主な機能とサービス

コワーキングスペースは、利用者が快適に、そして効率的に働けるように、様々な機能やサービスを提供しています。基本的なものから、特定のニーズに応えるものまで多岐にわたります。

無料Wi-Fi、複合機、プロジェクター

仕事をする上で不可欠な高速Wi-Fiは、ほぼ全てのコワーキングスペースで無料で利用できます。また、書類の印刷やコピー、スキャンに必要な複合機や、ミーティングやプレゼンテーションに使えるプロジェクターも備え付けられていることが一般的です。これらの設備が揃っていることで、利用者は別途自分で用意する必要がなく、すぐに業務に取りかかれます。

フリードリンク、文房具貸出

休憩時間にリフレッシュできるよう、コーヒーやお茶などのフリードリンクを提供しているスペースが多くあります。また、急な資料作成などで文房具が必要になった際に便利な文房具の貸し出しサービスを行っている場所もあります。こうしたちょっとした心遣いが、利用者の満足度を高め、快適な作業環境を支えています。

会議室、個室ブース

チームでの打ち合わせや、外部とのオンライン会議など、プライバシーを確保して会話したい場合に利用できる会議室が用意されています。また、集中して作業したい時や、オンライン面接などに最適な個室ブースやフォンブースも設置されていることが多く、用途に応じて使い分けが可能です。これらは予約制で利用できることがほとんどです。

郵便物受け取り、法人登記用住所利用

フリーランスやスタートアップ企業にとって、ビジネス用の住所を確保することは重要です。多くのコワーキングスペースでは、郵便物の受け取りや転送サービスを提供しており、自宅の住所を公開せずにビジネスを行うことができます。さらに、一部のスペースでは、法人登記用の住所として利用できるサービスもあり、初期費用を抑えながら事業を始めたい場合に非常に役立ちます。

イベント企画・開催、ビジネスマッチング、専門家紹介

コワーキングスペースは、単なる作業場所以上の価値を提供します。利用者同士の交流を促すイベントや、異なる企業や個人を結びつけるビジネスマッチング、さらには税理士や弁護士などの専門家紹介サービスを行うスペースもあります。これらは、利用者のビジネスを加速させたり、困り事を解決したりする手助けとなり、コミュニティ全体の活性化にも繋がります。

コワーキングスペースの料金体系と選び方

コワーキングスペースの利用を検討する際には、料金体系と、自身のニーズに合ったスペースを選ぶためのポイントを理解しておくことが重要です。

料金体系:会員制(定額制)、ドロップイン制

コワーキングスペースの料金体系は、大きく分けて二種類あります。一つは、月額料金を支払って営業時間内であれば自由に利用できる「会員制(定額制)」です。毎日利用する方や、特定のスペースを拠点としたい方に適しています。もう一つは、時間単位や日単位で料金を支払う「ドロップイン制」です。必要な時だけ利用したい方や、出張先で一時的に利用したい場合に便利です。自身の利用頻度や目的に合わせて最適なプランを選びましょう。

選び方のポイント:立地、設備、コミュニティの雰囲気、セキュリティ、料金、利用時間など

コワーキングスペースを選ぶ際は、以下のポイントを比較検討することをお勧めします。

  • 立地:自宅や取引先からのアクセスが良いか、駅からの距離はどうかなどを確認しましょう。

  • 設備:Wi-Fiの速度、モニターの有無、会議室や個室ブースの充実度、電源の数などをチェックします。

  • コミュニティの雰囲気:活発な交流を求めるのか、静かに集中したいのか、自身のスタイルに合うかを見極めます。見学や無料体験で実際の雰囲気を確かめるのが一番です。

  • セキュリティ:ロッカーの有無、監視カメラ、入退室管理システムなどを確認し、安心して利用できるかを判断します。

  • 料金:自分の利用頻度に見合った料金プランがあるか、追加料金が発生するサービスは何かを事前に確認しましょう。

  • 利用時間:早朝や深夜、土日祝日も利用できるかなど、自身の働き方に合うかを確認します。

これらのポイントを総合的に考慮し、最も適したコワーキングスペースを見つけることが、生産性の向上と満足度アップに繋がります。

【目的別】コワーキングスペースの活用事例

コワーキングスペースは、その柔軟性と多様なサービスから、様々な目的や状況に応じて活用されています。ここでは代表的な活用事例をご紹介します。

フリーランス・個人事業主

フリーランスや個人事業主にとって、コワーキングスペースは仕事の拠点として非常に有効です。自宅での作業は集中しにくい、あるいは孤独を感じやすいといった課題を解決できます。低コストでオフィス機能を利用できるため、初期投資を抑えながら、プロフェッショナルな環境で業務に集中できます。また、他の利用者との交流を通じて情報交換や新たな仕事の機会を見つけることもでき、ビジネスの成長を後押しします。

企業のリモートワーカー・サテライトオフィス利用

企業が従業員のリモートワークを推進する際、自宅以外の選択肢としてコワーキングスペースの活用が進んでいます。従業員は、自宅での集中力低下や孤独感解消、あるいは自宅では確保できない安定した通信環境やセキュリティのもとで業務を行えます。企業側は、従業員の生産性向上やエンゲージメント維持に貢献し、既存オフィスの縮小や固定費削減にも繋がります。一部のスペースをサテライトオフィスとして契約するケースも増えています。

スタートアップ企業・起業家

スタートアップ企業や起業家にとって、コワーキングスペースは理想的な環境です。高額なオフィス賃料をかけることなく、必要なオフィスインフラをすぐに手に入れられます。さらに、他のスタートアップ企業やフリーランスとの交流は、アイデアの交換や提携、協業のチャンスを生み出します。投資家やメンターとの接点を提供してくれるスペースもあり、事業成長を加速させるためのエコシステムの一部として機能しています。

学生・勉強スペース

近年では、学生が勉強やグループワーク、あるいは就職活動の拠点としてコワーキングスペースを利用するケースも増えています。図書館とは異なり、飲食が自由で、会話や打ち合わせも可能なため、柔軟な学習スタイルに対応できます。また、ビジネスパーソンが働く姿を間近で見たり、イベントに参加したりすることで、将来のキャリアや仕事への意識を高める機会にもなります。集中できる環境と刺激的な出会いが、学生の成長をサポートします。

まとめ

「コワーキング」は、多様な人々が共同で働き、互いに刺激し合いながら、柔軟な働き方を実現する新しいワークプレイスです。その最大の魅力は、低コストで質の高い作業環境が手に入ること、そして新しい出会いや学び、ビジネスチャンスが生まれるコミュニティにあります。

もちろん、雑音やセキュリティといったデメリットも存在しますが、適切な対策を講じ、スペース選びのポイントを押さえれば、これらの懸念を解消できます。企業の人事や管理職の皆様にとっては、従業員の生産性向上、福利厚生の拡充、コスト削減、そして多様な働き方への対応を実現するための強力な選択肢となるでしょう。

記事監修者

長瀬 光弘
長瀬 光弘
DIO編集長/ライター

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。

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