
「EQ」とは?心の知能とも呼ばれる感情知能指数を解説
激変する現代社会で、人事・管理職には知識や論理だけでは解決できない課題が山積しています。部下のモチベーション向上、チームの生産性向上、複雑な人間関係の解決には、「EQ(感情知能)」が不可欠です。EQとは、自分や他者の感情を理解し、適切に管理・活用する能力のこと。
IQが知能指数であるのに対し、EQは「心の知能」とも呼ばれ、人間関係構築、コミュニケーション、リーダーシップ発揮に大きく貢献します。EQを高めることで、部下との信頼関係を築き、チームのエンゲージメントと生産性を向上させ、多様なメンバーの強みを引き出すことができます。

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。
組織を強くする「EQ(感情知能)」の重要性
現代のビジネス環境は、目まぐるしい変化の連続です。AIやテクノロジーの進化、多様な働き方の普及、価値観の多様化など、これまでになかった課題に日々直面している人事・管理職の方も多いことでしょう。知識や論理的な思考力だけでは解決できない、複雑な人間関係の悩みやチームの生産性向上といった問題に、どうすれば効果的に対応できるのでしょうか。その答えの一つが、「EQ(感情知能)」にあります。AIやテクノロジーが進化する現代において、知識やスキルだけでは解決しきれない問題に、真の「人間力」が今、最も求められているのです。
知識だけでは解決できない課題に直面していませんか?
「部下のモチベーションが上がらない」「チーム内の意見対立が頻発する」「ハラスメント問題にどう対応すべきか」「リモートワークでメンバーとの信頼関係が築きにくい」――これらは、人事・管理職の皆様が日々直面する代表的な課題ではないでしょうか。これらの問題は、単に業務知識やスキルが不足しているからではありません。人の「感情」が深く関係しているため、従来の論理的なアプローチだけでは解決が難しいケースがほとんどです。むしろ、感情を理解し、適切に対処する能力が問われる場面が増えていると言えるでしょう。
EQとは何か?「心の知能指数」があなたの組織を強くする
EQとは、「Emotional Intelligence Quotient(感情知能指数)」の略称で、自分自身の感情を理解し、コントロールする能力、そして他者の感情を認識し、共感する能力、それらの感情を適切に利用して思考や行動を導く能力を指します。IQ(知能指数)が知識や論理的思考力を測るのに対し、EQは「心の知能」とも呼ばれ、人間関係の構築やコミュニケーション、リーダーシップの発揮において非常に重要な役割を果たしています。この感情知能を高めることは、組織内の人間関係を円滑にし、個々のパフォーマンス向上、ひいては組織全体の生産性向上に直結するものです。
EQが高いと何が変わる?人事・管理職が手に入れる具体的なメリット
EQを高めることは、人事・管理職として多くのメリットをもたらします。まず、部下との間に強固な信頼関係を築きやすくなります。相手の感情を理解し、寄り添うことで、オープンなコミュニケーションが促進され、部下は安心して自分の意見や悩みを共有できるようになるでしょう。その結果、チーム全体のエンゲージメントが向上し、生産性の向上にもつながります。
さらに、ストレスの多い状況でも自分の感情をコントロールできるため、冷静な判断力を保ち、適切な意思決定を下すことができます。これは、トラブル発生時や緊急の課題に直面した際に、特に重要な能力となります。また、共感力が高まることで、多様な背景を持つメンバーの個性を尊重し、それぞれの強みを引き出すリーダーシップを発揮できるようになります。結果として、人材育成の質が向上し、離職率の改善にも貢献するでしょう。AIが業務の多くを代替する時代だからこそ、人間特有の感情を理解し活用するEQは、現代のビジネスリーダーにとって不可欠な資質なのです。
EQを構成する5つの力:感情を理解し、活用するスキル
EQは、主に次の5つの要素で構成されています。これらは相互に関連し合い、ビジネスシーンであなたの能力を最大限に引き出す助けとなります。
自己認識:自分の感情、強み、弱み、価値観などを正確に理解する力です。自分の感情の動きに気づくことが、EQを高める第一歩となります。
自己管理:自分の感情や衝動をコントロールし、目標達成のために適切に調整する力です。困難な状況でも冷静さを保ち、ポジティブな行動へとつなげます。
モチベーション:目標に向かって自分を鼓舞し、困難に直面しても諦めずに努力し続ける力です。内発的な動機づけが、持続的な成果を生み出します。
共感力:他者の感情や視点を理解し、それに寄り添う力です。部下や同僚の気持ちを察することで、より深い信頼関係を築くことができます。
対人スキル:他者と良好な関係を築き、効果的にコミュニケーションを取り、影響を与える力です。交渉、対立解決、チームビルディングなど、組織運営に不可欠な能力です。
これらの力をバランス良く高めることで、あなたはより優れた人事・管理職へと成長できるでしょう。
今からできる!あなたのEQを高める実践的なステップ
「EQを高めたい」と感じた今がチャンスです。日々の業務や私生活の中で、意識的に実践できる具体的なステップをご紹介します。
自分の感情に意識を向ける:一日の終わりに、その日に感じた喜び、怒り、不安などの感情を振り返り、なぜそう感じたのかを考えてみましょう。感情を言語化する習慣は、自己認識を高めます。
相手の立場で考える癖をつける:部下や同僚との会話で意見が対立したときや、納得できない行動を見たとき、「もし自分がその立場だったらどう感じるだろう?」と想像してみてください。相手の言葉の裏にある感情を読み取ろうとすることで、共感力が磨かれます。
感情を力に変える:困難や失敗に直面したとき、落ち込むだけでなく、「この経験から何を学べるか」「どうすれば次に活かせるか」と前向きに捉え、行動に繋げる意識を持つことが重要です。感情をネガティブなものとして終わらせず、成長の糧とする訓練をしましょう。
建設的なフィードバックを実践する:部下にフィードバックをする際は、単に結果だけでなく、そのプロセスや感情にも配慮しましょう。「頑張っていたね」「困っていることはない?」といった共感を示す言葉を添えることで、相手は受け入れやすくなります。
多様な人との交流を深める:意識的に普段接しない部署の人や、異なる価値観を持つ人と交流を持つことで、多様な感情や視点に触れる機会を増やし、対人スキルを向上させましょう。
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—2025年2月28日(金)に行われた組織横断型イベントの概要を教えていただけますか?
山本:一言でいうと、エンゲージメントについて業界や会社の枠を超えて学ぶイベントでした。具体的には、異業種の他社と交流をして各社のエンゲージメント推進事例を共有しあい、そこから学びを深めていくものです。
今回のポイントは、メインコンテンツである取り組み事例の共有を2つの視点で行ったことです。エンゲージメント推進側と事業部門などの現場側、両方の視点で事例を共有しあい、参加者同士の対話を通じて学びや気づきを得られる場を目指しました。

まとめ:EQを高め、組織と個人の未来を拓く
人事・管理職の皆様がEQを高めることは、個人の成長だけでなく、チームの結束力を高め、組織全体のパフォーマンスを最大化する鍵となります。感情を理解し、適切に活用する能力は、変化の激しい現代において、人間関係の質を高め、困難を乗り越え、持続的な成功を収めるための強力な武器となるでしょう。
記事監修者

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。











