マイクロマネジメントとは?定義・悪影響・改善策をわかりやすく解説

マネジメント・育成
サマリー

上司による過度な干渉や監視を指すマイクロマネジメントは、部下の主体性やモチベーションを奪い、組織全体の生産性まで低下させる深刻な問題です。

なぜマイクロマネジメントは起こるのか、部下のミスを恐れる上司の心理など発生原因を詳しく解説します。

栗山ミキオ
解説者:栗山ミキオ

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。

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マイクロマネジメントとは?定義と特徴

マイクロマネジメントとは、上司が部下の業務に過度に干渉し、細かいチェックや強い監視・管理を行うマネジメント手法を指します。部下の一挙手一投足に目を光らせ、指示の細部にまで口を出すことが特徴です。これに対し、部下を信頼し、大きな目標と裁量を与えるスタイルを「マクロマネジメント」と呼びます。一般的に、マイクロマネジメントは部下の主体性を奪い、成長を妨げる要因として否定的に捉えられます。上司自身が無自覚であることも多く、知らず知らずのうちに部下や組織に悪影響を与えている可能性があるため、人事や管理職の皆さまには特に注意が必要です。

組織を蝕むマイクロマネジメントの深刻な悪影響

マイクロマネジメントは、部下個人から組織全体に至るまで、深刻な悪影響を及ぼします。

最も顕著なのは、部下が自ら考え、行動する主体性や意欲(モチベーション)が低下することです。常に指示を待つ「指示待ち人間」を生み出し、本来持っている能力や創造性を発揮できなくなります。これにより、業務効率や組織全体の生産性が低下し、ひいては優秀な人材の離職にも繋がりかねません。

また、上司自身も部下の細部にまで関わることで本来の業務が圧迫され、戦略立案や部下育成といった重要な役割がおろそかになります。結果として、組織全体の成長が阻害される悪循環を生み出してしまうのです。人事や管理職の皆さまは、この負のスパイラルを断ち切る必要性を深く認識すべきでしょう。

なぜマイクロマネジメントは発生するのか?背景にある上司の心理

上司がマイクロマネジメントに陥る背景には、いくつかの共通する特徴と心理が隠されています。

一つは、部下のミスが自身の評価に直結することを恐れる「不安」です。自身の責任範囲で失敗が起きることを過度に恐れ、部下の業務に深く介入してコントロールしようとします。

また、自身の成功体験や過去のやり方に固執し、部下にも同様の完璧さを求める傾向も見られます。部下の能力や成長段階を正確に評価できていない場合や、成果を出すための細かいルール作りに傾倒することも一因です。近年では、テレワークの普及により部下の仕事が見えにくくなったことで、見えない不安から過干渉になるケースも増加しています。管理職としては、自身の内面にあるこうした心理を理解することが、改善への第一歩となります。

マネージャーの不安を減らそうと、エンゲージメントサーベイを導入した事例↓

社員の離職リスクや、マネージャーの精神的負担の増加という課題もありました。これもコロナ禍がきっかけでもあったと思います。特に、マネージャーの精神的負担に関しては、リモートワーク中心でメンバーの細かい状況が分からない中、1on1で何を話すべきか?どのようにコミュニケーションをとっていくといいのか?といった悩みをマネージャーが抱えていました

メンバーに対するマネジメントの責任は、直属のマネージャーだけが負担するものではなく、その一つ上、ないし二つ上のレイヤーにいる者も含めて責任を負うものだと思っています。組織の状態を可視化するツールを導入することで、マネージャーよりも上の階層にいる者も組織の状態を把握しやすくし、マネージャーの精神的負担を軽減するということも導入の目的の一つでした。

マネージャーの心理的負担を減らしスキルを上げる、対話を軸とした組織作り
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マイクロマネジメントから脱却し、生産性を高める改善策

マイクロマネジメントを改善し、健全な組織運営を行うためには、上司・部下・組織全体での意識改革と具体的な行動が必要です。

上司が実践すべき行動変容

上司はまず、部下の意見に耳を傾け、尊重する姿勢を持つことから始めましょう。具体的な行動としては、以下が挙げられます。

  • 報連相のタイミングや内容を明確にルール化する

    :部下が必要な情報を適切に共有できる仕組みを整え、過度な干渉を減らしつつ状況を把握します。

  • 部下の実力を見極め、適切な範囲で権限を委譲する

    :部下の成長段階に応じた業務と責任を与え、自律性を育みます。

  • プロセスだけでなく、成果で評価する

    :部下の仕事の進め方ではなく、達成された成果に焦点を当てて評価することで、部下は自ら考え、工夫するようになります。

  • 定期的な1on1を実施し、建設的なフィードバックを心がける

    :対話を通じて部下の課題解決をサポートし、信頼関係を築くことが主体性を育む鍵となります。

人事部門が推進すべき組織的な取り組み

人事部門は、管理職がマイクロマネジメントに陥らないよう、組織全体で以下の取り組みを推進することが求められます。

  • 管理職へのマネジメント研修を通じて、リーダーシップやコーチングスキルを向上させる

    :部下の自律性を尊重し、能力を引き出すための実践的なスキルを習得させます。

  • 評価制度を見直し、プロセスだけでなく成果を重視する仕組みを構築する

    :管理職が部下の細部にまで介入せずとも、適切な評価ができる環境を整備します。

  • 心理的安全性の高い職場文化を醸成する

    :失敗を恐れずに挑戦できる環境を作ることで、部下は主体的に業務に取り組むことができます。

  • 業務の標準化や可視化を支援する

    :適切な情報共有ツールやワークフローを導入することで、上司が過度に干渉せずとも業務状況を把握できるようになります。

マネージャー向けの研修の事例↓

川田:当社のマネージャー層は、ずっとプレーヤーとして頑張ってきた人間が多いんです。だから、いわゆるマネジメント研修を受けてマネージャーとしてしっかりと育てられてきたわけではなく、優秀なプレーヤーがマネージャーになるという形で昇進しているので、部下に対して自分をどのように、どこまで開示していけばいいかや、どれだけ部下のことを知るべきかといった距離感が実経験として十分にわかっていなかったところがあるのではないかと思っています。

そのあたりを今回サジェストしてもらって、皆、納得感を持つことができ、人によって程度の差はありますが、行動変容まで見られているので非常によかったかなと思っています。

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知っておきたい:マイクロマネジメントが有効な限定的状況

一般的に否定的に語られるマイクロマネジメントですが、限定的な場面では一時的にメリットとなることもあります。例えば、新卒社員や経験の浅い新人に対しては、業務の基本や社内ルールを細かく指導することで、安心して仕事に取り組めるようサポートできます。右も左も分からない初期段階では、具体的な指示や頻繁な確認が安心感を与え、早期の習熟を促す効果が期待できます。

また、緊急性の高いプロジェクトの立ち上げ初期や、予期せぬトラブル発生時など、方向性を早く固める必要がある場合も、トップダウンでの詳細な指示が有効なことがあります。しかし、これはあくまで初期段階や危機的状況に限った話であり、部下の成長に合わせて速やかに権限委譲を進めることが不可欠です。長期化すれば、先に述べたデメリットが顕在化し、組織に深刻な悪影響をもたらします。

まとめ

マイクロマネジメントは、無自覚のうちに組織の活力を奪い、生産性を低下させかねない深刻な課題です。しかし、その本質を理解し、上司と部下、そして人事部門を含む組織全体が連携して改善策に取り組むことで、部下は主体的に成長し、組織はより高い生産性を発揮できるようになります。一時的に有効な場面があることも理解しつつ、基本的には部下の自律性を尊重するマネジメントへと移行することが、持続的な組織成長の鍵となるでしょう。本記事が、皆さまの組織における健全なマネジメント実践の一助となれば幸いです。

記事監修者

長瀬 光弘
長瀬 光弘
DIO編集長/ライター

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。

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