
SaaSとは?働き方を変えるソフトウェアの基本を解説
SaaS(Software as a Service)とは、インターネット経由で利用する「借りて使う」便利なソフトウェアサービスです。従来のインストール型と異なり、初期費用や運用負担を抑え、常に最新かつ安全な状態で利用できる点が特徴。企業においては、リモートワークの推進、業務の効率化や生産性向上に大きく貢献します。SaaS導入を検討する際は、自社の課題解決への適合性はもちろん、セキュリティ対策、データ管理の信頼性、そして従業員が使いこなすための定着支援が特に重要です。

新卒から人事畑ひとすじ23年、制度設計から採用、育成、労務、果ては部下の恋バナ相談まで(?)幅広く経験。前職では人事部長として"長く活躍できる組織"を目指し、社内外から「人事の相談役」と呼ばれるように。現在はアトラエで"エンゲージメントプロデューサー(自称)"としてクライアントの組織づくりを支援しつつ、自社のエンゲージメント向上にも燃える毎日。牛丼を食べながら組織の未来を考えるのが至福の時間。口癖は「ごめんごめん、実はさ...」。ちなみに最近の悩みは「Z世代との絶妙な距離感」。
SaaSとは? 「借りて使う」便利なソフトウェア
SaaSとは「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の略称で、インターネットを通じて提供されるソフトウェアサービスのことです。難しく聞こえるかもしれませんが、私たちは日常生活で知らず知らずのうちにSaaSを利用しています。例えば、無料で使えるウェブ版のメールサービスや、オンラインで写真やファイルを保存するサービス、動画配信サービスなどがその良い例です。
従来のソフトウェアは、CD-ROMを買ったり、自分のパソコンに直接インストールしたりする必要がありました。しかしSaaSは、そうした手間が一切かかりません。インターネットにつながる環境があれば、どこからでも、どのデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)からでも、必要なときにログインしてすぐに使い始めることができます。これは、まるで「必要な道具を必要な時に、使った分だけ借りて利用する」ようなイメージです。
なぜSaaSが企業で注目されているのか?
企業がSaaSを導入する大きな理由は、手軽さとコスト効率の良さにあります。まず、自社で高価なサーバーを用意したり、専門の技術者を雇ってシステムを構築したりする必要がありません。サービス提供会社がすべて管理してくれるため、初期投資を大幅に抑えられます。また、ソフトウェアの更新やセキュリティ対策も提供会社が行うため、常に最新で安全な状態で利用できます。
さらに、利用する人数や機能に応じて料金を支払う「サブスクリプション」形式が一般的です。使いたい時だけ、使った分だけ費用が発生するため、無駄なコストを削減できます。人事や管理職の方々にとっては、導入の障壁が低く、運用負担が少ないため、新しい業務システムを試したり、社内の働き方を柔軟に変えたりする上で非常に魅力的な選択肢となっています。例えば、採用管理システムや目標管理システムをSaaSで導入すれば、担当者はITインフラの心配なく、本来の業務に集中できます。
SaaS導入で変わる企業の働き方
SaaSの導入は、企業の働き方に多くの良い変化をもたらします。例えば、従業員はオフィスにいなくても、自宅や外出先から会社のシステムにアクセスして仕事を進められるようになります。これにより、リモートワークやテレワークが容易になり、多様な働き方を推進できます。
また、営業支援ツール(CRM/SFA)、人事管理システム(HRIS)、会計ソフト、プロジェクト管理ツール、社内コミュニケーションツール(ビジネスチャット)など、様々なSaaSが登場しています。これらを活用することで、これまで手作業で行っていた業務を自動化したり、社員間の情報共有をスムーズにしたりできます。結果として、業務の効率が上がり、生産性が向上し、従業員がより創造的な仕事に集中できる環境が整います。人事や管理職の方にとっては、従業員の満足度向上や、人材の有効活用にも繋がる重要なツールとなり得ます。例えば、SaaS型の人事評価システムを導入すれば、評価プロセスが透明化され、従業員の納得感が高まります。
SaaSを選ぶ際のポイントと注意点
SaaSを導入する際は、ただ流行っているから、という理由だけでなく、自社の具体的な課題や目標に合っているかを慎重に見極めることが大切です。まず、解決したい業務上の問題は何か、そのSaaSで本当に解決できるのかを明確にしましょう。例えば、従業員の勤怠管理を効率化したいのか、採用活動をスムーズにしたいのか、あるいは従業員のエンゲージメントを高めたいのか、といった具体的なニーズを洗い出すことが重要です。
次に、使いやすさも重要なポイントです。どんなに高機能でも、従業員が使いこなせなければ意味がありません。直感的に操作できるか、導入後にベンダーからのサポートは受けられるかを確認しましょう。また、費用は適正か、将来的に利用人数が増えた場合に料金体系はどうなるのかなど、長期的な視点でのコストも考慮する必要があります。これらの点を踏まえ、複数のサービスを比較検討することが成功の鍵となります。
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―皆さんはWevoxの結果もしっかり見られていますが、どのような点を「使える」と感じていらっしゃいますか?
谷田部:リアルタイムに結果がわかるところです。年1回のグループ意識調査は、たくさんの質問項目があるため、集計に時間がかかり実施から何か月も経ってから結果が返ってくるためなかなかうまく活用できません。一方で、Wevoxの場合、毎月同じ項目についてスコアが出ることで、一人ひとりの変化がよりわかりやすいですし、チームの結果も把握しやすいのが良い点だと思っています。
宮崎:私も同様で、毎月サーベイが行われるので、その時々の状況がビビッドに分かる点が、一番使いやすいなと思うところです。

セキュリティとデータの管理
SaaSはインターネットを通じてデータが扱われるため、セキュリティは最も重要な検討事項の一つです。会社の機密情報や従業員の個人情報など、大切なデータを預けることになるため、そのサービスがどのようなセキュリティ対策を講じているかをしっかりと確認する必要があります。例えば、データの暗号化、アクセス制限、多要素認証、定期的なバックアップなどが適切に行われているか、情報が公開されているかを確認しましょう。
また、万が一のトラブルや災害時でもデータが失われないよう、信頼できるサービス提供会社を選ぶことが肝心です。人事や管理職の方々は、ただ便利だからというだけでなく、企業の財産であるデータ資産を安全に守る責任があります。導入前に、サービスのセキュリティポリシーやプライバシーポリシーを必ず確認し、疑問点があれば提供会社に問い合わせるようにしましょう。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得状況なども判断材料の一つになります。
導入後の活用と定着のための考え方
SaaSを導入して終わり、ではありません。そのツールが実際に社内で活用され、業務に定着するまでが本当のスタートです。どんなに優れたSaaSでも、従業員が使わなければ効果は出ません。そのためには、まず導入の目的や、そのSaaSによって得られるメリットを社員にしっかりと伝え、理解を促すことが大切です。
また、導入当初は使い方に戸惑う社員もいるでしょうから、丁寧な研修や説明会を実施したり、操作マニュアルを用意したりすることが効果的です。不明点があった際に、誰に聞けば良いのか、どこで情報を得られるのかといったサポート体制を明確にすることも重要です。導入後も定期的に利用状況をチェックし、従業員からのフィードバックを吸い上げて改善を続けることで、SaaSの価値を最大限に引き出し、組織全体の生産性向上や従業員満足度の向上につなげることができます。
まとめ
SaaSは、インターネットを通じて手軽に利用できるソフトウェアサービスであり、企業においては初期投資の抑制、運用負担の軽減、そして多様な働き方への対応といった多大なメリットをもたらします。特に人事や管理職の方々にとっては、従業員の業務効率向上、情報共有の円滑化、さらには人材の有効活用や満足度向上に直結する強力なツールとなり得ます。
導入の際は、自社の課題に合致しているか、使いやすさはどうか、そして何よりもセキュリティ対策が万全であるかを慎重に見極めることが不可欠です。導入後も、従業員への丁寧な周知とサポートを通じて、SaaSが組織に深く定着し、その価値を最大限に引き出すための取り組みを継続することが成功の鍵となるのです。
記事監修者

2013年からライターとして活動。DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)のブックライティングも担当。











